WBAバンタム級王者・堤聖也 血まみれドローで初防衛 比嘉と抱き合い「最高だよ、お前」
2025年2月24日(月)19時12分 スポーツニッポン
◇プロボクシングWBA世界バンタム級タイトルマッチ 王者・堤聖也(角海老宝石)<12回戦>同級4位・比嘉大吾(志成)(2025年2月24日 東京・有明アリーナ)
WBA世界バンタム級王者・堤聖也(29=角海老宝石)が元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(29=志成)と引き分け、初防衛に成功した。堤は15戦12勝(8KO)無敗3分け。2階級制覇を逃した比嘉は26戦21勝(19KO)3敗2分けとなった。
4回に比嘉の頭が当たる不運で右目上から出血。視界が遮られるなか、果敢に打ち合った。
9回には比嘉の左フックを浴びてダウンを喫したが、王者が右のショートで挑戦者に尻もちをつかせる壮絶な応酬となった。
最後までパンチを出し続けた。ガードの上でも構わず打った。王者のボクシングを見せ続けた。
最後は比嘉と抱き合い「最高だよ、お前」と称え合った。
判定はドロー。堤の防衛となった。
「自分自身が情けない。自分の心の弱さが表れた試合だった。もっと強くなりたいと思ってるので理想の自分を出せるように」と振り返った。
比嘉については「本気の比嘉大吾が伝わってきた。強かったです。ありがとう」と感謝を伝えた。
同学年の比嘉とはアマチュア時代に対戦経験があり、20年10月のノンタイトル戦では引き分け。昨年9月、WBOバンタム級王者・武居由樹(大橋)に敗れ、 一度は引退を表明した比嘉との再戦を前に「比嘉大吾の最後の試合」「彼の人生をつぶす」などと挑発的な言葉を口にした。プライベートでは食事に行く間柄だが、昨年末の対戦決定後からは連絡を絶ち、私情を挟まず勝負に徹した。
「いつも覚悟を持ってリングに上がっている。人生のつぶし合いと思ってボクシングをやっている」。日本王者時代の23年12月、激闘の末に判定勝ちした相手・穴口一輝さん(享年23)が亡くなる悲劇も経験。勝負の世界の厳しさを誰よりも知る王者の覚悟でベルトは死守したが、高校時代からの友人に引導は渡せなかった。
昨年10月に前WBA王者・井上拓真(大橋)を3−0判定で下し、世界王座を獲得。“標的”からのベルト奪取でモチベーションの低下も心配したが、「挑戦する心は変わらずある」と初防衛戦に臨んだ。 今後、ベルトを守ることを目標とはしていない。井上拓と再戦の可能性も残す中、理想像は「強いチャンピオン」だ。「長く王者でいることがテーマではない。強いヤツと戦ってその結果、負けて陥落したとしてもダサい王者はなりたくない」。目標とするWBCのベルトは階級最強の中谷潤人(27=M・T)が保持。統一戦も見据え、強さを追い求めていく。