巨人・桑田真澄2軍監督が春季キャンプ総括 練習だけでなくチームワークもレベルアップ 開幕へ向けて感謝しながら飛躍を
2025年3月1日(土)6時0分 スポーツ報知
練習を見守る桑田真澄2軍監督(カメラ・宮崎 亮太)
巨人の新ファーム球場・ジャイアンツ(G)タウンスタジアムが1日に開場を迎える。桑田真澄2軍監督(56)は、ファームの現状を伝えるコラム「桑田の眼」で春季キャンプを総括。新球場から新戦力の台頭を期待した。
* * *
今年のキャンプは「個別化」をテーマに掲げ、とても手応えのある日々を過ごせたと感じています。個別化とは、選手をひとくくりにするのではなく、将来目指す選手像や現状の課題に応じて練習内容を大胆に変えるアプローチを指します。
野球界には「2軍の選手は、長時間、猛練習しないと上手くならない」という常識があります。しかし2軍監督に就任して気づいたのは、2軍には調整目的の主力選手から、育成段階にある新人選手までいて、年齢や競技力の幅が非常に広いという現実です。多様な選手たちが全体練習で長時間同じ練習をしていても、上達するはずがありません。
そこで全体練習は午前中で切り上げて、午後は個別練習に時間を割く方針を打ち出しました。当初は選手たちが自身の課題を把握しているのか心配しましたが、実際には各コーチが選手に寄り添いながら極めて的確な練習を提案していました。昨季2軍で共に戦ったコーチ陣に加え、川相コーチと矢野コーチが加わったことで、細かいプレーに関するコーチングの内容に厚みが増したと思います。
練習の合間や練習試合では、実績のある選手たちが若手へ積極的に声かけしてくれていました。これこそスポーツマンシップだと感謝しています。そうした姿に良い影響を受けたのか、初キャンプとなった新人たちも前向きな姿勢で取り組んでいました。彼らにはGPSの測定結果に基づいて、練習量をセーブするよう指示を出すほどでした。
定期的に専門家を招いて食事と睡眠、体の仕組みなどをテーマに勉強会を開催し、僕からは2軍の選手には時間がないことを説明しました。アスリートが成功を収めるには時間との闘いに勝たないといけません。「球団は5年も10年も待ってくれない。練習、栄養、睡眠のバランスを取りながら、早くチャンスをつかんでほしい」と伝えました。
驚いたのは、ミーティング以外の場でも、コーチやスタッフが選手と細やかにコミュニケーションを図っていたことです。組織全体で主体性や深いレベルのチームワークが浸透し、2軍を束ねる立場として誇らしく思いました。実際、誰もが自主的に動いていたので、僕はグラウンド状態を確認したり、アルバイトスタッフと球拾いをして一日が終わることもありました。
さて3月からは実戦を重ねて開幕を迎えます。試合が始まると、選手は悩みやストレス、さまざまな葛藤を抱えながら戦うことになります。そんな時こそ、各選手の内面と将来のゴールを想像しながら、背中を押したいと思っています。ジャイアンツタウンスタジアムでの試合に先立って、コーチや選手にはファンやスポンサーの大切さを伝えました。多くの方々から応援してもらえる環境に感謝しながら、選手には大いなる飛躍をしてほしいと願っています。(巨人2軍監督)