プライベータートップを走る関口太郎「ウチはウチのスタンスで最善を尽くす」/全日本ロード

2024年3月5日(火)14時9分 AUTOSPORT web

 1995年から全日本ロードレース選手権シリーズGP250クラスにフル参戦を開始。2001年に全日本GP250チャンピオンとなり、世界へも挑戦した関口太郎(SANMEI Team TARO PLUSONE)が、2024年で30シーズン目を迎える。チームとして2020年からは国内最高峰のJSB1000クラスにチャレンジを開始。2022年からは鈴鹿8耐にも参戦し、常にプライベータートップの成績を残してきた。


「応援してくださる、みんなのおかげで今年もレースを続けることができます。2024年のJSB1000クラスは話題も多いですが、僕みたいなプライベーターにとっては大変なシーズンになると思います。ウチはウチのスタンスで最善を尽くします」


 Team TAROは“ない袖は振れぬ”というスタンスで限りある予算の中でやりくりしてきた。当初は型落ちのBMW S1000RRから始まり、2022年はM1000RRにスイッチしたが、ほぼストック状態のままでJSB1000クラスを戦ってきた。スタンダードでも高いポテンシャルを持っているが、予算さえあれば、もっとマシンを速くできることは分かっていた。

関口太郎(SANMEI Team TARO PLUSONE)


 BMWのレーシングサービスを行っているアルファレーシングには、様々なメニューがあり、昨年の鈴鹿8耐、そして鈴鹿の最終戦では、キットエンジンを注文し、ドイツからアルファレーシングのエンジニア、ジュリアン・ベニッツを招集した。


「ジュリアンは26歳と若いけれど、アルファレーシングでしっかり教育を受けているので、BMWのことを電気はもちろん、すべてを理解しているから、すごくやりやすいし楽ですね。世界を走っていたころもメカニックとは、マシンの状態を伝えてセットを進めていましたが、そのころの感覚です。こちらが“サスペンションを固くしたい”と言っても“そこはオレが決めるから”とジュリアンがデータを見てセットを変えるのですが、その幅が大きく“大丈夫かな?”と思うほどなんですが、走ってみると的を射ているんですよ。雰囲気は似ているけれど、無駄な部分がそぎ落とされているというか、補われている感じかな」


 鈴鹿8耐は3人で走るため、それほど大きな変更はしなかったが、最終戦鈴鹿では関口のみに合わせたセットアップを、かつてないほどのペースで進めていった。それまで関口は、どちらかと言えば、あまりセットをいじらずバイクに合わせた走りをしていたが、キットエンジンの速さとジュリアンのセッティング能力と相まって、予選では自己ベストを大きく更新する2分06秒589を記録した。


「キットエンジンは、アルファレーシングで慣らしまで終わっているので、到着してすぐに載せて使うことができます。西ストレートで中須賀に抜かれたのですが“なかなか抜けなかった”と後で言われました。予選で2分06秒5を出すことができたのは自信になりましたし、決勝も違う風景を見ることができました」


 決勝では、ヨシムラやホンダのサテライトチームと互角の速さを見せた関口。キットエンジンは確かに速かったが、足回りは、ほぼスタンダード。BMWのポテンシャルの高さを証明したレースとなっていた。

関口太郎(SANMEI Team TARO PLUSONE)


 フィジカルトレーニングは欠かさず続けているが、バイクを操るために必要な身体作りを心掛けている。力でねじ伏せるのではなく、体幹を意識した乗り方に変化してきている。


「もちろん予算があれば、ジュリアンを全戦呼んで、マシンもスーパーバイク仕様にするのが理想ですが、そのためには莫大な資金が必要なので現状では難しいですね。昨年と同様に鈴鹿8耐と最終戦鈴鹿にジュリアンを呼んで去年の自分を超えたいですね」


 最後に長く続ける秘訣は? と聞いてみると「“感謝することですかね”。多くの皆様に応援していただいていて今があります。その気持ちを忘れずに、自分自身が進化していると思えるうちは、走り続けたいと思っています」と関口。ここ数年、円安やレースを取り巻く環境は、関口のようなプライベーターには、決してやさしくはない。その中で奮闘している生粋のプライベーターの走りにも注目してほしい。


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