マンCが完勝も地元紙の採点は僅差? 192回目のマンチェスター・ダービーを総括

2024年3月5日(火)5時0分 サッカーキング

フォーデンの2得点もありダービーはマンCに軍配 [写真]=Getty Images

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 終わってみればマンチェスター・シティの完勝だった。今月3日に行われたプレミアリーグ第27節、マンチェスター・シティとマンチェスター・ユナイテッドによる192回目のマンチェスター・ダービーは、史上初の4連覇を目指すホームチームが王者の貫禄を見せつけて3−1で勝利した。

 試合は終始マンチェスター・シティが試合を支配する展開だったが、先手を取ったのはカウンター攻撃に徹した“ゼロトップ”のマンチェスター・ユナイテッドだった。8分、GKアンドレ・オナナのパントキックをDFラインの裏に走ったMFブルーノ・フェルナンデスが収める。背後から走ってきたFWマーカス・ラッシュフォードにパスを出すと、生え抜きのアタッカーがボックス外からダイレクトで強烈なシュートを叩き込み、マンチェスター・ユナイテッドが先制した。

 その後はホームのマンチェスター・シティが、最終的に73%ものポゼッション率を誇るほどボールを保持。すると1点ビハインド迎えた56分、MFフィル・フォーデンがカットインから得意の左足で同点ゴール。試合後にDFカイル・ウォーカーから「ザ・スナイパー」とシュート技術を称えられたフォーデンは、80分にも左サイドをパス交換で崩して逆転ゴールを奪った。そして後半追加タイムにはエースのFWアーリング・ハーランドが今季リーグ戦18点目となるダメ押しゴールを決め、終わってみれば王者シティが“宿敵”を粉砕した。

 データ会社『Opta』によると、マンチェスター・シティがプレミアリーグでのマンチェスター・ユナイテッド戦で逆転勝利を収めるのは初めてのこと。これまでリードを許した28戦は、3分25敗と1度も勝てていなかった中で、“29回目の正直”となった。一方、マンチェスター・ユナイテッドがリードして後半を迎えたプレミアリーグの試合に敗れるのは10年ぶり。2014年9月に行われたプレミアリーグ第5節レスター戦で、前半を2−1で終えながら最終的に3−5の逆転負けを喫して以降、リードして折り返した試合は143戦も無敗だったが、地元のライバルに後半45分間で逆転を許してしまった。

 試合展開だけを考えるとマンチェスター・ユナイテッドは健闘したが、実力差は明らかだった。73%のボール支配率を誇ったシティは、シュート数でも27対3と圧倒。結局マンチェスター・ユナイテッドの枠内シュートはラッシュフォードのゴールのみだった。マンチェスター・ユナイテッドのOBであるロイ・キーン氏も、イギリスメディア『スカイスポーツ』を通して「今日は、あまりユナイテッドに厳しいことを言えない。ただただシティが素晴らしかった」と語り、ジョセップ・グアルディオラが率いるチームを次のように称えた。

「シティは相手の弱点をすべて見つけ出す。まるでボクシングのようだ。シティは敵の体力を擦り減らせていくのさ。ユナイテッドがどこに向かっているのかという問題もあるがね。最後の25分間、ユナイテッドはシティに近寄ることさえできず、おもちゃにされた。最後は大人と子どもの戦いだった」

 そんな試合で地元紙『マンチェスター・イブニング・ニュース』が最も高い採点を付けたのは、やはり2得点の活躍を見せたフォーデンだった。「またしてもマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)の活躍。今季はキャビネットに入りきらないほどMOMを貰っている。見事な2ゴールだった」という寸評とともに、この試合最高の9点が付けられた。グアルディオラ監督もも同選手について「今、彼は今シーズンのベストプレーヤーの1人だ」と絶賛。「私は以前から、彼ならもっとゴールを決められると思っていた。今は実際に得点を挙げ、チームを勝たせてくれている。ワールドクラスの選手というのはチームを勝たせられる選手だからね。これまでも献身性は素晴らしかったが、今はチームを勝たせてくれる選手になった」と褒め称えた。

 フォーデンの次に高い評価を得たのはMFロドリで「序盤はあまりボールに触れなかったが、1度触り出したらユナイテッドは彼を止められなかった」とし、地元紙は彼に8点を付けた。だが、興味深いことに8点以上の採点は彼ら2名だけ。残りの9選手は7点以下になった。チーム最低の5点を付けられたのは、2週間ぶりの先発出場となったFWジェレミー・ドク。「(マテオ・)コヴァチッチの代わりに出場という興味深い起用だったが、それが功を奏することはなく、何度かボールを無駄にして交代させられた」と指摘された。

 さらに、普段の基準からすると大人しく見えたMFケヴィン・デ・ブライネについても「通らなかったキラーパスばかりを狙い、攻め急いでいるように見えた」として6点。前半終了間際にフォーデンの頭での折り返しに飛び込むも、無人のゴールに押し込むことのできなかったハーランドにも「ビルドアップの部分は良かったが、それだけでは見出しを飾れない」として同じく6点が付けられた。“大一番”で逆転勝利を収めた試合にしては低い採点が目立ったが、これが今のマンチェスター・シティの強さなのだろう。“創造主”であるデ・ブライネや絶対的エースのハーランドが輝く必要なく、圧倒的な総合力で試合に勝ててしまうのだ。

 一方で、トップ4の座が遠くの敗戦を喫したマンチェスター・ユナイテッドの採点には、試合内容ほどの差は見られなかった。マンチェスター・シティの先発11名の平均採点が「6.9」だったのに対し、マンチェスター・ユナイテッドは「6.2」。マンチェスター・ユナイテッドで及第点の6点を下回ったのは2名のみだった。

 MFスコット・マクトミネイには「前半は良い攻撃参加もあったが、限られたボールを保持する機会に彼の限界が見えた」として4点、FWアレハンドロ・ガルナチョには「ダービーでの初スタメンでシティを脅かせず」として5点が付けられた。一方で、DFジョニー・エヴァンス、DFラファエル・ヴァラン、DFディオゴ・ダロトといった守備陣にはチーム最高の7点が与えられた。

 また、今季ブレイクを果たした生え抜きのMFコビー・メイヌーも7点。これが初めてのダービーとなった18歳は「スタイルを調整してDFラインを保護するカゼミーロを手助けした。フォーデンのシュートを見事にブロックしたシーンも。今回はスキルよりも気概を見せた」と高評価。そして先制点のラッシュフォードも「もう少し簡単そうなチャンスがあったのも事実だが、キャリア最高とも呼べる咄嗟の見事なシュートで先制点を挙げた」として7点が与えられた。

 普段の基準が高すぎるために高得点が付かないマンチェスター・シティ。一方、敗れた試合でも健闘を称えられるマンチェスター・ユナイテッドの選手たち。今の両チームは、地元紙の採点結果に「差」が出ないほど、実力差が開いてしまったのかもしれない…。

(記事/Footmedia)


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