ニッサン、新開発の電動パワートレイン『X-in-1』公開。コスト3割減、電動車の競争力向上目指す
2023年3月10日(金)11時42分 AUTOSPORT web
日産自動車は3月9日、電気自動車(EV)と、ニッサンでは“e-POWER”として展開しているレンジエクステンダーEVの主要部品を共用化し、モジュール化した新開発の電動パワートレイン『X-in-1』の試作ユニットを公開した。
長期ビジョン“Nissan Ambition 2030”において、2030年度までに19車種のEVを含む27車種の電動車を導入することを目指すニッサン。その一環として、同社は2026年までに2019年比でコストを30%削減する電動パワートレインを採用し、今後登場予定のEVモデルとe-POWERモデルの競争力をさらに向上させたい考えだ。
9日(木)に公開された電動パワートレイン『X-in-1』の試作機は、モーターとインバーター、減速機の3つのパーツをモジュール化したEV用の『3-in-1』と、モーター、インバーター、減速機に加えて発電機、増速機の5つの部品をモジュール化したe-POWER用の『5-in-1』の2種類。いずれも駆動部品の共用化と、ユニットのモジュール化による生産効率の向上により、生産コストの約3割削減を実現する。またe-POWERモデルにおいては、2026年までにエンジン車と同等の車両コストを目指すとしている。
『X-in-1』の採用は、コスト面だけでなくユニットの小型化と軽量化によって車両の走行性能、および音振性能を向上させる。
ニッサンはEVで得られた知見をe-POWERに、e-POWERの知見をEVへと双方向で活用するとともに、駆動部品や制御技術を共用しEVとe-POWER、どちらも電動車ならではの魅力的な運転体験を提供するとした。なお、X-in-1では“レアアース”と呼ばれる重希土類の使用を1%以下(磁石重量比)まで削減した新開発のモーターが採用される予定だ。
「ニッサンは早期にEVを市場投入し、実際にEVを使用されているお客さまの声を聞くことで、電動化技術を進化させてきました。また2016年にEV技術を活かして誕生したe-POWERはモーターのみで100%駆動する日産独自のパワートレインであり、EVと同様の走る楽しさを提供します」と語るのは、パワートレイン開発を統括する専務執行役員の平井俊弘氏。
「X-in-1の主要部品である、モーターおよび発電機、インバーター、減速機および増速機は、それぞれ同一の生産ラインでEV用とe-POWER用が混流生産可能な設計としています。現在開発を進めているX-in-1には、こうした日産の電動化技術の開発や生産のノウハウが最大限活かされています」
「今後も電動車両だからこそ実現できる新たな価値を創造し、より多くのお客さまにEVやe-POWERを通じて『e-4ORCE』や『e-Pedal』に代表される100%モーター駆動ならではの魅力をお届けしていきます」