「ジェットコースター」デビューで初入賞のイゴール・オオムラ・フラガ。2レース制に感じるメリット
2025年3月14日(金)12時1分 AUTOSPORT web

3月7〜9日に鈴鹿サーキットで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権の第1戦・第2戦は、波乱含みの展開となる中でルーキードライバーたちの活躍も目立った。
とくに日曜日の第2戦では、イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が5位に入る活躍を見せた。週末のルーキー勢のなかでは最上位を獲得したが、うまくいかなかった第1戦と比べるとジェットコースターのような週末だったとフラガは振り返った。
■レース後半に訪れた「スイートスポット」
土曜日の第1戦では8番グリッドを手にしたフラガ。決勝に向けても期待が高まったが、レコノサンスラップ中にNISSINブレーキヘアピンでコースオフを喫し、ピットレーンスタートに。そこから14番手まで追い上げたが、13周目のAstemoシケインで平良響(KDDI TGMGP TGR-DC)と福住仁嶺(Kidscom Team KCMG)の接触で行き場を失い、福住の車両にぶつかる形で停車。幸い再スタートを切ることができたがフロントウイングを破損しており、修復のためピットインを余儀なくされた。
最終的に18位完走を果たしたが、1周遅れでのチェッカーということで、フラガも「いろいろと申し訳ありませんでした」と無線では落胆しながらチームに謝っていたが、中嶋悟総監督は「イゴールは残念だけど、今日運がなかった分、明日は(運を)もらえるかもよ。がんばろう!」と声をかけていた。
日曜日の第2戦では、僅差でQ2進出を逃して14番手からのスタートとなったが、2周目でピットストップを済ませる戦略で順位を上げていき、最終的に5番手に浮上。後半は前を走る野尻智紀(TEAM MUGEN)に迫る快走を披露したが、追い抜くまでには至らず、5位入賞を果たした。
「第2レースを終えて自分自身でもほっとした部分があります。スタートから作戦、アウトラップ、レースペース、クルマのセットアップがいい感じでまとめられたレースだったのかなと思います」とフラガ。
今年から日曜日のレースではピットウインドウに制限がなく、フラガは2周目にピットストップを済ませたが、その後の29周ものロングランについては、このように振り返る。
「タイヤのデグラデーションは、それなりにあったと思います。ただ、後半に入ってクルマのスイートスポットに入ったような感じがあったので、乗りやすかった印象です」
「同じ戦略をとった人に対して、中盤は少し遅れ気味だったんですけど、後半になってスイートスポットに入ったことと、周りも少しタレたこともあってか、一気に追いつけたのかなと思いました。ただ(デグラデーションに関しては)ブレーキングとかトラクションのところでデグラデーションはあったのかなと思います」
改めて、自身としても待ち望んでいたトップフォーミュラのデビューレースを終えて「ジェットコースターみたいな感じでしたね」と苦笑いをみせるフラガ。
「スーパーフォーミュラって単純に速く走るだけではなく、いろいろな要素が噛み合わないと結果が出ないレースだということは、昨年リザーブドライバーとして帯同して、すごく感じていました。昨日はそういうところがモロに出てしまいましたが、そこでの経験を持ち帰って、2レース目で自分のものにできたのは、自信につながりました」
「こうして2日連続でレースができると、1レース目に何か起こったことに対する対策を次のレースでできるので、経験を積むステップが少し早くなるのかなと思います。1レース制だと、次のレースになるとコースも変わるので状況がまったく変わります。本当の結果の比較が難しいところもありますけど、同じサーキットで2レースをするのとは状況は違ってきます」
「本当にいい体制を用意してくれたチームに感謝しています」
ルーキーとしては幸先良いスタートを切って、これからが楽しみなフラガだが、本人は「僕は今までスーパーフォーミュラで走ったことがあるのは、鈴鹿だけなので……これからはスーパーフォーミュラで走ったことがないコースなので、2回のFPでどれくらい自分のレベルを上げられるかというのも関わってくるので、これからというところです」と慎重な様子だ。
いずれにしても、ルーキーたちの快進撃が見逃せないシーズンになりそうだ。