2022年の伏兵ロス・チャスティンを退け、チェイス・ブリスコが“Next-Gen”初優勝/NASCAR第4戦

2022年3月15日(火)10時27分 AUTOSPORT web

 3月12〜13日にアリゾナ州フェニックス・レースウェイで開催されたNASCARカップシリーズ第4戦『ルーオフ・モーゲージ500』は、312周の決勝最終盤で再びのリスタート勝負となり、カップ参戦初年度の新興チームながら新車両規定“Next-Gen”の好機を捉えて躍進するロス・チャスティン(トラックハウス・レーシング・チーム/シボレー・カマロ)を抑え、チェイス・ブリスコ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)が今季4人目の勝者に輝いた。


 レースウイークの木曜にカップシリーズの新たなボードメンバー就任が発表されたシリーズは、砂漠のなかにある低バンクの1マイル・オーバルで第4戦を迎えた。


 すでにオフテストで同トラックを経験する“Next-Gen”車両だが、この週末のフェニックスではここまで開幕の走り始めから優位を見せていたシボレー勢ではなく、フォード陣営のチーム・ペンスキー軍団が先行する展開に。


 公式練習ではオースティン・シンドリック(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が最速となり、続く予選ではそのシンドリックとプラクティスで1-2を占めたライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が、2022年開幕4戦で4人目のポールウイナーを獲得。自身キャリア通算7度目、ここフェニックスで3度目のポールシッターとなった。


 そのブレイニーは決勝最前列スタートの優位を活かし、この日最多となる143周のリードラップを記録してステージ2を勝ち獲ったものの、221周目に迎えた遅めのストップで、今季から採用されるラグナットガンがクルーの手を滑り落ち、そのまま首位争いから脱落する形で4位フィニッシュを迎えるのが精一杯に。


 代わって最後のステージを支配したのがブリスコで、残る83周のうち82周をリードする盤石の“上がり”を披露。30周を切った時点でエリック・ジョーンズ(ペティGMSモータースポーツ/シボレー・カマロ)がクラッシュを喫して7度目のコーションを迎えると、リスタートからは首位ブリスコに対し、小規模チームの新鋭チャスティンがアタック。前戦ラスベガスで最多リードラップを記録し、新規参戦チームに初のステージ勝利をもたらした男が、その勢いがフロックでないことを証明するべく優勝戦線に絡み続ける。

前戦勝者のアレックス・ボウマンと第2戦勝者のカイル・ラーソンのヘンドリック・モータースポーツ勢はともにトップ10圏外に
予選最速のライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が143周の最多リードラップを刻む
開幕からトップ5を争う好調ウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)がステージ1を制する


■「最後のラップは涙が止まらなかった」とブリスコ


 すると残り9周で第2戦ウイナーの2020年チャンピオン、チェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)がバックストレッチでコントロールを失い、そのコーションが開けると残り3周での“ラスト・スプリント”に。


 ターン1、ターン2でうまく後続を引き剥がすことに成功したブリスコがそのままトップチェッカーを受け、今季開幕4戦の活躍でカップシリーズ『台風の目』になったチャスティンと、タイラー・レディック(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)を従え、ブリスコはスチュワート・ハース・レーシングとの初優勝、新車両規定“Next-Gen”での最初の勝利を手にした。


「本当に信じられない! 最後のラップは1周を走っているあいだずっと涙が止まらなかった。これは間違いなくチームの勝利だ。ここまで僕を連れてきたみんなに感謝を捧げなくてはならない」と、勝利の喜びを語ったブリスコ。


「7年前、僕は自分のキャリア自体を諦める準備をしていたが、チームがチャンスを与えてくれたんだ。この世界を代表するヒーローみたいなチームに加入し、彼らのクルマをドライブできるだけでも本当に幸せだった。この#14を勝利の道筋に戻せたなんて……僕を信じてくれた全員に感謝したい。信じられないよ!」


 一方、2020年創設の若い組織ながら、今季から昇格した最高峰シリーズで存在感を示すトラックハウス・レーシング・チームについて、チームのリードドライバーを務めるチャスティンは「僕らは決して『弱者』ではない」と、今後の可能性について自信を見せた。


「もちろん僕らには勝利の経験がなく、ファクトリーにはトロフィーケースもない。でも(前戦で)ステージウインを記録し、今週は勝利を争って2位に入った。そのことを心から誇りに思う。僕らが準備していた計画は……うん、OK、今は目標よりはるかに高い位置にいるが、すでにステージに勝ったからには、初年度中にレースを制覇するしかないね!」


 併催となったNASCARエクスフィニティ・シリーズの第4戦は、最多リードラップを記録しつつ、残り15周で首位奪還を果たしたノア・グラグソン(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が、惜しくも勝利を逃した前週の借りを返す今季初優勝を決めている。

カイル・ブッシュ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)は7位フィニッシュ
今季からチーム代表としてNHRAに参戦し、同じ週に開催の開幕3戦目で初勝利を挙げたトニー・スチュワートも、ブリスコ勝利に賛辞を送った
NASCARエクスフィニティ・シリーズの第4戦は、ノア・グラグソン(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が制した

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