歴史的開催地での開幕前エキシビジョン“Clash”は、猛追ブレイニーを抑えたエリオットが初制覇/NASCAR

2025年2月5日(水)18時4分 AUTOSPORT web

 今季は54年ぶりに改修された象徴的ショートトラックで実施されたNASCARカップシリーズ開幕前のエキシビジョン戦『Cook Out Clash at Bowman Gray Stadium』は、ポールポジション獲得のチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が、最後尾発進だったライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)の劇的な猛追を抑え、この“Clash”初制覇を飾っている。


 ロザンゼルスの五輪記念公園で開催されてきた『Busch Light Clash at the L.A. Coliseum』の3年間を経て、NASCARでもっとも長い開催実績を持つ最古参のオーバル兼サッカースタジアムで迎えた週末は、どのドライバーからも会場の雰囲気を称賛する言葉が漏れ聞こえてきた。


「20年ほど前にバンデレロスでここで走ったことがあるから、また来られてうれしいよ」と語ったのは、日曜の早い段階でクルマに問題が見つかった後、ラジエーターなどの部品を交換して暫定ポイントでファイナル出場を果たすことになるブレイニー。


「この場所の評判と、ボウマン・グレイを愛する熱心な人々が周辺にたくさんいること。そして本当に歴史のあるトラックだと思う。だから、このクラッシュ開催には最適の場所だと思うよ。このイベントを国内のさまざまな場所で開催できるのはうれしいことだね」


 その狭さから混戦による接触バトルが乱発し、レースが肉弾戦と化す傾向が強く“the Madhouse(ザ・マッドハウス)”の異名を取るボウマン・グレイ・スタジアムは、1/4マイルのショートトラックとして1937年に建設された。その後、1949年にはNASCARが競う最初の舗装レーストラックとなり、近年には大規模な設備改修が行われていた。

NASCARカップシリーズ開幕前のエキシビジョン戦『Cook Out Clash at Bowman Gray Stadium』は、今季は54年ぶりに改修された象徴的ショートトラックで実施された
NASCARでもっとも長い開催実績を持つ最古参のオーバル兼サッカースタジアムで迎えた週末は、どのドライバーからも会場の雰囲気を称賛する言葉が漏れ聞こえてきた


 その土曜は日曜メインイベントへの出場権を獲得すべく4回のヒートレースが催され、最初の20人のドライバーが決定。それぞれ25周のレースでエリオット、クリス・ブッシャー(RFKレーシング/フォード・マスタング)、デニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)、そしてタイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)ら4名が勝利し、最前列と2列目を固めた。


 明けた日曜の“敗者復活”的なLast Chance Qualifying(LCQ)では、カイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)とジョシュ・ベリー(ウッド・ブラザーズ・レーシング/フォード・マスタング)が滑り込み21番手、22番手のグリッドを確保。とくに移籍組のベリーは、NASCAR殿堂入りのチーム代表グレン・ウッドがカップシリーズ4勝のすべてを挙げたトラックで、自身移籍後初の実戦スタートを切る権利を手にした。


 迎えたファイナルでは、事前に「日曜の夜、3列目や4列目から勝つのは大変だろう」と語っていたポールウイナー、エリオットの予言どおりの展開となり、中盤からハムリンが2回にわたって28周のリードラップを記録したが、126周目にエリオットがトップの座を奪い返した後、カムリXSEは沈黙。そして147周目にブレイニーがハムリンのトヨタをパスすると、この2名による一騎打ちとなった。


「先頭数列は、他の列に対して間違いなく大きなアドバンテージがあると思う。もちろん、何が起きてもおかしくない。僕は長年この仕事をしているし、何が起きてもおかしくない。そのことは重々承知しているが、通常の状況で完全に衝突したりしないのであれば、もちろん先頭数列にいたいし、幸運にもそうなっている」

LCQでファイナル進出権を確保したカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)だったが、最後はアクシデント絡みに
ヒート3を制して2列目発進のデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)も、リードラップで奮闘する


 戦前そう語っていたエリオットは、200周のエキシビションレース終盤でも周回遅れの車両を巧みに処理。最初の96周を含む171周をリードし、最後尾からスタートしたブレイニーより1.333秒早くフィニッシュラインを通過した。


「この環境は特別だ。ここはNASCARで深い歴史を持つ場所だし、正直、彼ら(ボウマン・グレイ)はこのイベントにふさわしいと思うよ。期待を裏切らなかったことを願っているし、少なくとも僕にとっては本当に楽しかった。いつかまたここに戻って来られるといいな」


 一方、終盤に照準を合わせたセットがピタリとハマり、暫定措置グリッドからの猛追撃を披露したブレイニーは、最後まで勝利を狙って名門ヘンドリックの9号車を追い回したものの、最後は「過度に攻撃的な動きをするのはやめた」と、2025年のシーズンオープニングで印象的なドライブを見せた。


「彼(シリーズで7回の最多人気選手に輝くエリオット)に突っ込んで(観客に)ピッチフォーク(干し草の熊手)で追い出されるつもりはないからね(笑)」と笑顔を見せた2023年カップ王者のブレイニー。「最後には右リヤが足りなくて、彼に追いつくことができなかったよ」


 そして3位に終わったハムリンも、ブラッド・ケセロウスキー(RFKレーシング/フォード・マスタング)とダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)が絡んだ7回目のコーションの後、この日最後となる121周目のリスタートを悔やんだ。


「リスタートではあまりうまくいかず、ボトムを失ってチェイス(・エリオット)につけこまれた」と明かしたハムリン。


「リードを奪えば、それを維持するのはずっと簡単だ。後半は彼らが我々より少しだけ優れていたように思うし、それは12号車(ブレイニー)も同じだ。もう少し良くならなければならないが、全体的には我々にとって良い日だった」


 これでいよいよ2025年のシーズンが幕を開けたNASCARカップシリーズ。続く2月13日木曜からは本戦出場を賭けた“The Duel”が始まり、同16日には伝統の開幕戦『デイトナ500』を迎える。

最後尾発進だったライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)は劇的な猛追を披露
「この環境は特別だ」と“Clash”初制覇のチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)


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