「明日は泣いてしまうかも」フォーミュラE首脳陣が東京開催までの苦労、そして直前のコース変更の理由を説明

2024年3月29日(金)12時11分 AUTOSPORT web

 いよいよ開幕を迎えた、日本初開催となるフォーミュラE東京大会。3月29日金曜の午後からの走行セッションを前に、フォーミュラEのジェフ・ドッズCEOと、アルベルト・ロンゴ共同創始者兼チームチャンピオンシップオフィサーが日本のメディア向けに囲み取材に応じた。


 フォーミュラEのシリーズが始まって10年。日本・東京開催に漕ぎつけるに至った経緯や直前になって変更となったコースレイアウトについて聞いた。


「我々にとって東京だけというよりは日本で開催をするという意味も思っている。彼(アルベルト共同創始者)が、10年かけて東京での開催を実現しようと動いてくれた」と語るのはドッズCEO。


 日本開催に向けては、このシリーズが2012年の8月にFIAの承認を受けた直後の9月にロンゴ氏が東京を訪れていたそうで、その後も年に何度か日本を訪れ、開催の可能性を探ってきたという。


「日本のモータースポーツのファンベースは、おそらく世界のどこよりも大きくて強力だ。従ってここでレースをすることは、この世界選手権が成長していくこ上で、非常に重要なことだ」とドッズCEO。


「加えて、私たちのチャンピオンシップは東京都が掲げている2050年までにネットゼロ(温室効果ガス排出量をゼロにする)のために、2030年までにネットゼロを半分にする……そのビジョンが一致している」と、東京・お台場での開催意義についても言及した。


 また、開催実現に向けて10年間、交渉してきたロンゴ氏は10年の歳月について、東京マラソンを例に感想を述べた。


「東京マラソンの開催を実現させるのに9年半の時間がかかった聞いている。そこから考えれば、10年というのは決して長い道のりだったとは思わない。やはり、東京という大都市の公道を封鎖するということは非常に大変なことだ。さまざまな許可が必要になる」


「フォーミュラEはマラソンと比べて社会に与えるインパクトはそこまで大きくはない。それをマラソンと同じような約10年の期間で実現できたことについては、誇りに思う」とロンゴ氏。


 開催にあたって一番のネックになったのは、安全面だという。


「この10年の中で、特に交渉に難航するということはなかったけど、東京都は周囲の人々の安全を確実に確保することを要求してきて、そこのコミットメントを取り付けるのに多くの時間がかかった」とロンゴ氏。


 ただ、開催許可が下りて以降の進行は非常にスムーズに準備を進められたという。


「許可をとるという部分では複雑なところもあったが、許可が下りた後は非常にスムーズに準備が進められた。そこからは全て非常に高い基準で仕事が進んでいった。日本の人々の勤勉さに助けられたところが多い」


「開催の承認を受けるまで10年かかったが、承認を受けてからはおそらく、これまで私たちがフォーミュラEを開催してきた国の中で最も取り組みやすい国のひとつだった。117〜118レースやってきたなかで、正直“一番やりやすい街”だと思った」と語る。


 また、開催直前になって、公道エリアから東京ビッグサイト駐車場エリアに戻る部分で、コースの終盤に急きょシケインが設けられることとなった。これについてロンゴ氏は「トラックデザイナーが設計したコースレイアウトで準備を進めていたが、直前になってFIAがコースレイアウトを変更することを決めた」と、経緯について語った。


「一番の理由は安全面だ。坂を下ってくる場所でランオフエリアも十分ではない。それで、本当に直前のタイミングだったけど、ターン16と17のシケインを追加することとなった。だけど、観客のために素晴らしいレースやオーバーテイクシーンを見せることができると思っている」と、レース当日の盛り上がりに自信をみせていた。


 10年の交渉の末にたどり着いたフォーミュラE東京大会。3月29日、そして3月30日の走行はどのようにファン、観客に受け入れられることになるのだろうか。


「明日のスタート前は、感激して泣いてしまうかもしれないね(苦笑)」と、これまでの東京開催への苦労や労力を振り返ったロンゴ共同創始者と、ドッズCEO。そのスタートの瞬間がいよいよ近づいてきた。

2024年フォーミュラE東京大会 左:アルベルト・ロンゴ共同創設者兼チーフ・チャンピオンシップ・オフィサーと右:ジェフ・ドッズ最高経営責任者
フォーミュラE 2024 Tokyo E-Prix 東京・有明ビックサイトで搬入中のコースに潜入。コースと都内のマンションの風景が新鮮です


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