甲子園常連校 スカウティングのボーダーレス化が加速 関西から関東、関東から関西へ その背景とは

2025年4月5日(土)7時18分 ココカラネクスト

センバツを制した横浜高も県外の有力選手を迎えている(C)産経新聞社

 強い高校野球チームを作り上げる「はじめの一歩」が、有望中学生のスカウティングにあることは疑いようのない事実です。

 今回、横浜高校が19年ぶりの優勝を決めて閉幕したセンバツ高校野球大会では、スカウティングの「ボーダーレス化」が加速したと、関係者の間では話題になっています。

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 高校野球取材歴の長いスポーツライターは言います。

「高校野球は、特に夏は都道府県単位で代表校を決めることで、国民的な人気を集めてきた経緯があります。しかし今回の決勝戦、横浜高校の『Wエース』と呼ばれた3年生のエース・奥村頼人は滋賀県彦根市の出身で、将来性豊かな2年生右腕の織田翔希は福岡県北九州市の出身。対する智弁和歌山のエース右腕・渡邉颯人は横浜市の出身だったんです」

「一昔前は、確かに越境入学や野球留学はあったものの、関東、関西といった同じエリア内だったり、野球留学も新鋭の私立校が何とか甲子園出場で名前を売りたいと熱心な例がありました。しかし現在は、決勝を戦った2校のような名門校でも、いい選手ならエリアの遠近を問わずに入学してくる傾向が出てきました。横浜高校も、松坂大輔さんを擁して春夏連覇を達成した1998年の優勝メンバーは、そのほとんどが神奈川の出身者だったはずです」

 その背景には何があるのでしょうか。前述のスポーツライターはこう解説するのです。

「松坂さんの時代と何が変わったのかといえば、誰もがスマホを持ち、進路について有益な情報を得られる『超情報化時代』になったというのが大きいでしょう。全国にどんな有望中学選手がいるのか、選手側からすればどんな進路があるのか、水面下では様々な情報が飛び交い、スカウティングを巡る“争奪戦”が展開されています。大切な子供を送り出す保護者にとって、最も関心があるのは『出口』、つまり進路です。両校のような名門校はプロのスカウトも足繁く視察を繰り返しますし、東京六大学、東都大学をはじめとする名門大学とのパイプも強い。これは大きなメリットと言えます」

「甲子園出場と進路という二つのゴールを『公約』として掲げられる高校があれば、所在地がどこでも関係ない。そして横浜と智弁和歌山の場合、監督、部長の人間性が秀でていて、選手たちが『この人に教わりたい』と思うことが一番大きいとも聞きます。どの世界であろうと、最後は『人』ということでしょう」

 東大、京大に行くために、エリアを超えて開成や灘といったエリート進学校を志す中学生がいても不思議ではないように、高校野球の世界もいっそうのボーダーレス化が進んでいきそうです。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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