阪神・佐藤輝 スタメン復帰即H 降雨ノーゲームも笑顔 「大丈夫。早くお風呂に入らせてください!」
2025年4月11日(金)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神(降雨中止)ヤクルト(2025年4月10日 甲子園)
阪神は10日のヤクルト戦(甲子園)が3回表2死で降雨ノーゲームとなった。体調不良で8日から2試合続けてスタメンを回避した佐藤輝明内野手(26)が「3番・三塁」で先発復帰し、初回2死の第1打席で非公式記録ながら左腕・山野から右前打。復調の予感が漂う確かな快音を響かせた。きょう11日からは中日3連戦(同)。過去4シーズン、セ5球団カード別最高の打率・279を残す好相性を味方につけ、完全復活を期す。
試合前から降りしきった雨とは裏腹に、佐藤輝の心には明るい陽光が差し込んだ。6日巨人戦(東京ドーム)以来、3試合ぶりに先発メンバーに名を連ねた和製大砲が、初回2死から右前打。高らかに自らの復調を告げる快音を奏でた。
「いい当たりが出たので、それは良かったかなと思う。(ボールの見え方も)大丈夫。早くお風呂に入らせてください!(笑い)」
降雨ノーゲームで非公式記録となるのが悔やまれる痛烈な打球だった。左腕・山野が投じた141キロのカットボールを完璧に捉えた打球は歓声に彩られた。続く森下の左前打で二進。5番・大山の先制打を信じ、生還を見据えて刻んだ軽快な足のステップも、背番号8本来のものだった。
うそやろ——と、虎党が嘆く異変は突然訪れた。球団創設90周年の記念すべき甲子園開幕戦だった8日に、「病気とかではないが、食欲も少しなかった」と回想する体調不良を発症。大事を取り、同日のヤクルト戦の先発を回避した。セレモニーにレジェンドOBも多数集った晴れ舞台で無念の先発落ち。0—1の8回無死一塁で代打出場したが、空振り三振に倒れた。翌9日は全体練習に加え、試合中のベンチにも姿を現さず静養。一刻も早いリカバリーに努めた。
本人いわく「ゆっくりしていた」と回復を最優先させた2試合に猛虎は苦戦した。どちらも適時打がなく、0—1、3—5で連敗。2リーグ制以降では史上最長を更新するホーム開幕5戦未勝利の屈辱にまみれた。開幕3カードを終えた時点で4本塁打、8打点でリーグ2冠に立っていた26歳も責任を痛感。状態確認の試合前練習を終えた際は「しっかり仕事ができるように準備したい」と決意を新たにしていた。そうして放ったリスタートの快打。2打席目、その先も見たくなるような鋭いスイングだった。
「(3戦ぶりの先発で)若干不安みたいなものがあったが、いい当たりが出たので大丈夫かなというところ」
不安一掃、全快は近い。きょう11日からの中日3連戦で、今季のセ5球団との対戦が一回りする。対中日の通算打率・279は、同一リーグのカード別最高。そして相手先発は高橋宏。難敵からの豪快な一発——。「佐藤輝明、完全復活」のシナリオは、書き上がった。(八木 勇磨)