予選で苦しんだ昨年のGT300ウイナーと2024年チャンピオン。好調が乱れた要因/第1戦岡山
2025年4月12日(土)22時12分 AUTOSPORT web

4月12日、岡山県の岡山国際サーキットで行われている2025年スーパーGT第1戦で、GT300クラスで昨年タイトルを争っていた2台が低迷している。2024年大会を制した2号車HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威/平良響)が予選Q1グループAで敗退、ディフェンディングチャンピオンの0号車VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)はQ2でトップから1秒以上遅れた15番手とやや苦戦を強いられた。
予選終了後、両チームのドライバーとエンジニアに苦戦した要因を聞いた。
●タイヤサイズの変更が生んだ差
予選後、平良響は「『まさか』という感じですね」と気落ちした様子だった。
「練習走行からあんまり感触は良くなかったので、クルマに結構大きな変化を持たせて挑んだ予選だったのですが……しっかり改善できてないというところがありました」と予選日を振り返る平良。その不調の要因には、今大会へ向けたタイヤチョイスが影響しているという。
「僕たちが持ってきたタイヤは、もっと晴れた天候で、暖かくなるコンディションを予想して選んだものでした」と、硬めのタイヤを持ち込んだことでタイムを上げきれなかったのだと説明する。
さらに平良は「マシンのバランスが結構変わった」というのが、レギュレーションの変更によってサイズが変わったフロントタイヤの影響だ。具体的には、幅が330mmから300mm、直径が710mmから680mmとなることで1インチほど小さくなり、接地面積が減っている。
HYPER WATER GR86のチーフエンジニアを務める渡邊信太郎氏はこう説明した。
「このクルマは、もともとの大きなサイズのタイヤに合わせた設計なので、新しいセットアップが必要になり、その合わせ込みはまだ足りていない」
「あと、午前の公式練習では堤選手の、クルマの姿勢をあまり変化させないドライビングの方がタイムが出ていて、ふたりのタイムに差がありました。これはチームとしても初めてのことでした。予選のドライバーはかなり迷ったのですが、Q2に賭ける意味でもQ1を平良選手に任せましたが、あまり好きではないセッティングになっているのだろうなと思いますね」
●「いい意味で言うなら『勲章』」。BoPで王者が苦戦
そして、2024年に4勝をあげたチャンピオンで、公式テストでも速さを見せていた0号車VENTENY Lamborghini GT3も、Q2で首位から1.198秒差と大きくギャップを空けられてしまった。
Q2のアタッカーを務めた元嶋佑弥に聞くと、「おそらく最大の要因はBoP(性能調整/スーパーGTでは参加条件)だと思いますけど、それを踏まえた詳しい原因を今探しているところですね」と答えた。
今回の開幕戦岡山へ向けてランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2は、エンジンへ送り込む空気の量を管理するエアリストリクターの径が、昨年最終戦時の51mmから48mmへと小径化。その結果、エンジンパワーが減少している。
普段の陽気な調子とは変わって沈んだ様子の元嶋は、この調整について「実際にチャンピオンを獲って、4勝して、いい意味で言うなら『勲章』ではないですけど、一概にそのせいにしても前に進めないですよね」とコメント。
「明日は今シーズンを見据えてなにかヒントをひとつでも持って帰るために、しっかりやるしかないですね」と、決勝に向けて切り替えていた。
この性能調整の影響について、VENTENY Lamborghini GT3の田坂泰啓エンジニアは「コースのあちこちで、ストレートスピードがきついです」とエアリストリクターの影響を説明している。
予選日夜の時点では、決勝日は早朝から昼頃まで雨が続く予報が多くみられる。昨年のシリーズをリードした2台は、決勝で挽回することができるだろうか。