ミレニアム世代・安田祐香 土砂降りPO制す「雨は好きです」涙の初Vも雨 今回は54ホールを“完走”
2025年4月14日(月)4時0分 スポーツニッポン
◇女子ゴルフツアー富士フイルム・スタジオアリス女子最終日(2025年4月13日 埼玉県 石坂GC(6585ヤード、パー72))
ミレニアム世代の安田祐香(24=NEC)が通算9アンダーで並んだ河本結(26=RICOH)、中村心(19=ヤマエグループHD)とのプレーオフ(PO)を4ホール目で制し、今季初優勝を飾った。1打差の2位から出た最終ラウンドは雨が降る中、2バーディー、1ボギーの粘りのゴルフを展開し、POに持ち込んだ。昨年9月の前回優勝は悪天候のため27ホール短縮競技だったが、今回は54ホールを“完走”。うれしいツアー通算2勝目となった。
激しい雨で薄暮のように暗くなった18番のグリーン上、キャップからウエアまで黒ずくめの安田の口元に白い歯がのぞいた。プレーオフ4ホール目、水が浮くバンカーから残り174ヤードの2打目を3メートル弱につけるスーパーショットで死闘に決着をつけた。パーで収めて優勝を決めると恐らく、この日初めて見せたきれいな歯がひときわ浮き上がった。
ツアー2勝目の率直な感想を問われ「一番はうれしい、です」と笑った。昨年9月、涙の初優勝も雨のラウンドだった。「最終日は天気が悪くて耐えるゴルフになると思った。それをやり遂げられた。雨は好きです。我慢強いゴルフになる。集中できた」と言う。前回は27ホール短縮競技だったが、今回は54ホールを“完走”。優勝の味も格別だった。
随所でパットが支えた。前半はパーで耐え、8番で難しい3メートルの下りスライスラインを沈めて初のバーディーを奪った。左ラフに入れて3オンの9番では3メートルを、「やばい(OB)と思った」10番のティーショットは木に当たってバンカー、だがここでも執念で5メートルを沈めて、ともにパーで乗り切った。
これこそが「フワフワした感じだった」初優勝との一番の違いだ。歯を見せない強気な表情でのラウンドを「ミスを恐れず、しっかりカバーできた」と言う。初優勝時もキャディーを務め、今季初めてバッグを担いだチャンド・サレシ氏(47)は「(パターは)雨の中でも強気に打てた。優勝して自信がついたのかもしれない」と明かした。
刻々と変わるグリーンコンディションを制した安田も「今週はパターに助けられた」と言った。「初優勝との一番の違いは、今回はしっかりと勝ち取った感じ」。パットは会場入り後に入念に打ち込んだ効果。バンカーショットはオフのタイ合宿の成果。プレーオフも「平常心は保てた」と、涙のない2度目の優勝だった。
ミレニアム世代の旗手としてプロ入り。古江彩佳、西村優菜ら同期は米女子ツアーで活躍する。「まだ全然(追いついていない)」と謙遜するが「米メジャーには挑戦したい」とも話す。今季目標としてゴルフノートに記した前半戦での優勝を達成し「まだ伸びしろはある。まずは複数回優勝を目指したい」。輝く白い歯が浮かび上がる回数だけ、安田の飛躍が近づく。 (鈴木 誠治)
▽安田祐香のツアー初優勝 24年9月に宮城・利府GCで行われたミヤギテレビ杯ダンロップ女子。悪天候のため27ホールに短縮され、最終日は9ホール決戦となった。1打差単独首位から雨の中で2つスコアを伸ばし、通算9アンダーで逃げ切りに成功。プロ5年目での念願のツアー初優勝に涙を流した。
◇安田 祐香(やすだ・ゆうか)2000年(平12)12月24日生まれ、兵庫県出身の24歳。7歳からゴルフを始め、坂田塾で基礎を学ぶ。兵庫・滝川二高に進み、17年日本女子アマ優勝。19年にはアジア太平洋女子アマを制し、同年のオーガスタナショナル女子アマで3位に入った。トイプードルの愛犬・イブと遊ぶのが癒やし。同年プロテストで一発合格。今大会の平均飛距離は235・83ヤード。目標は申ジエ、松山英樹。1メートル63、53キロ。