【皐月賞】クロワデュノール98点!規格外のイクイノックス級馬体 無敗4連勝で戴冠へ

2025年4月15日(火)5時30分 スポーツニッポン

 ◇鈴木康弘氏「達眼」馬体診断

 鈴木康弘元調教師(80)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第85回皐月賞(20日、中山)ではクロワデュノールをトップ指名した。達眼が捉えたのはライバルを圧倒するボディー。無敗4連勝でクラシック第1冠をつかむ構えだ。

 楠の木(クスノキ)分限、梅の木分限という言葉があります。成長は遅くても、やがてクスノキのような巨樹になる大器晩成タイプと、花が咲くのも実を付けるのも早いが、成長が止まるのも早い梅の木のような早熟タイプ。競走馬をクスノキ型と梅の木型に大別するなら、皐月賞の有力候補クロワデュノールは後者です。ただし、早熟といってもそこらへんの梅の低木とは格が違う。秋田・横手の大屋梅のような見事な枝ぶりです。江戸時代の民俗学者、菅江真澄が「かかる梅の木は世に類かたやはある(類のないものだ)」(雪の出羽路)と記した大屋梅の大樹。高さ約10〜11メートル、東西に約20メートル、南北に約25メートルもあったそうです。

 同じキタサンブラック産駒のイクイノックスを思い起こさせる大物感あふれる体つき。芯が1本入ったような力強い首差しは酷似しています。張りに満ちた全身にも、あのスーパーホースと同じ種類の柔らかくて強い筋肉を備えています。特に尻から臀部(でんぶ)にかけての丸みを帯びた筋肉は凄い。トモのパワーを推進力に変える飛節は角度も良くて力強い。余裕のある骨格のつくりも似ている。中長距離仕様の体形。2000メートルはもちろん、ダービーの2400メートルにも対応できる…とここまでは前走ホープフルSで挙げた馬体の特徴と同じです。

 それから4カ月たつのに鼻先から尾の先まで前走のシルエットと変わっていない。少しぐらい成長したところを見せてほしかったが、大屋梅の大樹に伸びしろを求める必要はないのかもしれません。イクイノックス級の規格違いの馬体なら成長がなくても維持するだけで十分。梅は百花の魁(さきがけ)。その年のどの花よりも早く咲くはずです。

 その一方、表情やしぐさには前走と異なる点が2つ見られます。1つは顔つき。かなりきつくなっています。2つ目は姿勢。首に力を入れて前肢に体重を掛け過ぎている。若馬らしい気負いが見られます。体の形は変わらなくても気持ちが変わってきた。馬体採点はこの2点を差し引いて98点。レース当日、返し馬を終えてゲート入りするまでに、いかに落ち着かせるかがポイントになるでしょう。

 平常心でレースに臨めれば…。梅はつぼみより香あり。2歳時から示した大屋梅の大樹のような規格違いの馬体で第1冠を手に入れるでしょう。 (NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の80歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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