「そんなミラクルあっていいのか」「もしかしたら2位」「何が何だかわからない(笑)」【第1戦GT500決勝MixVoice2】

2023年4月18日(火)11時28分 AUTOSPORT web

 大雨に雹(ひょう)、そして落雷と悪天候に襲われ、3度の赤旗で終了するという過去に類を見ない大波乱のレースとなった2023年スーパーGT開幕戦岡山。時間制限直前の赤旗中止となったが、レース後に状況を聞くことのできたドライバーたちの声をお届けする。


■64号車Modulo NSX-GT 太田格之進 予選3番手/決勝10位
「もしかしたら2位にいけたかも」


 3番手から伊沢拓也がステアリングを握りスタートしたModulo NSX-GTは、ドライコンディションのレース序盤でポジションを下げたものの、40周を終えて11番で太田に代わり、路面コンディションも変わったことでペースを取り戻し、前のマシンに追いつく勢いをみせた。


「僕に代わった時のドライでのスティントは、すごくペースが良くて、その時はコース上で一番速いくらいだったみたいです。前のクルマにも追いついていって『3〜4台くらいパスできるのではないか?』という感じでした。若干濡れている路面のなかをスリックで走るという状況でしたが、いい感じで走れていました」と太田。


 かなりの手応えがあったのだが、再び雨が降り始め、路面はウエットコンディションになっていった。ちょうどGT300クラスのSUBARU BRZ R&D SPORTがコースオフを喫し、FCYが導入されたのだが、それが解除された瞬間に、64号車はウエットタイヤにいち早く交換した。


「FCY明けでピットに入ってウエットタイヤに交換しました。そこでピットを出た瞬間にセーフティカーが入りました。『これはラッキーだ!』と思ったのですが……目の前に36号車(au TOM’S GR Supra)がいて、僕たちはラップダウンになってしまいました。あそこで36号車の前でピットアウトできていれば、僕たちは2位だったのかなと思います」


 他車のペナルティもあり、最終的に10位となった64号車。「GT500で初めてのレースでしたけど、大きなミスはなかったと思います。本当にチームが(クラッシュから)開幕戦に間に合わせてくれて、予選は良い結果で終えられて、士気も上がっています。決勝は運に見放されて残念な結果に終わりましたけど、ポジティブに捉えているというか、次のレースも頑張りたいなと思います」と、最後は前向きに捉えていた。

シーズンオフのクラッシュによる怪我で走行機会が少ないままGT500デビューを飾ったModulo NSX-GTの太田格之進


■8号車ARTA MUGEN NSX-GT 大湯都史樹 予選7番手/決勝3位
「『そんなミラクルあっていいのか』というぐらいの流れで、良いレースができました」


 予選9番手を獲得していた8号車ARTA MUGEN NSX-GT。安全上の理由からモノコックを交換したことで決勝ではペナルティストップ5秒が課せられることから、上位進出は難しいと予想されていた。しかし、レースではペナルティ消化後に2度のFCY(フルコースイエロー)、そして3度のSC(セーフティカー)、3度の赤旗でギャップは帳消しに。スタートを担当した大湯は徐々に順位を挙げて3番手で野尻智紀にバトンを渡した。


「(レース序盤は)僕は硬めのタイヤを履いてたので序盤はまず、生き残ることが大前提でした。(モノコック交換の)ペナルティは受けていたので、しっかりペナルティを消化できる形で進めて、ペナルティ消化後はひとりで走っていたのですけど、ペースもそんなに悪くなく……の中でFCYからのSCがほんと良いタイミングで出てくれて、ウエットタイヤに変えることができた。そこで、ペナルティでストップしてた分が帳消しになりました」


「そこからは自分自身もタイヤもすごくマネジメントできましたし、バトルもして抜いていけてたので、ペースも良いなかで上位で走れましたし、途中まではホントに2番手とか、3号車の方より前にいたくらい、力強い走りができていました」


 スタートから54周を走行して4番まで順位を挙げた大湯は55周目にピットインして野尻智紀に交代。その交代時のピット作業もうまく進み、4番手をキープ。


「野尻選手もピットから出ていく、あのゴチャ、っとしたときもチームが頑張ってくれたおかげで上手く出れました。そのあとは赤旗になりましたけど、あと1、2周でもやれたら、もしかしたらトップ争いが出来たのかもしれません。そういうタラレバはもちろんあるけど、まずは最後尾どころか勝負権がないなかからの3位だったので『そんなミラクルあっていいのか』というぐらいの流れで、僕自身も良いレースができました。まさかポイントが獲れるとは思ってなかったので、そこから考えたら、すごく良いレースだったんじゃないかと思います」


■8号車ARTA MUGEN NSX-GT 野尻智紀 予選7番手/決勝3位
「戦略も間違うことがなかった。大満足です」


 55周目に大湯からバトンを受けた野尻。4番手をキープする走りを続けていた中で、トップの36号車au TOM’S GR Supraがタイヤ交換時のミスで脱落。3番手に上がり、そのままフィニッシュ。3位表彰台を獲得した。


「(レースを振り返って)何が何だかわからない(笑)。もう1回レース見直さないと、というのはありましたけど、そのベースを作ってくれたのは1回目のSCだったのかな。非常にタイミングが良かったと思いますし、本当に大湯選手がいいペースで頑張って抜いてきてくれていましたし、その走りがあって戦略も間違うことがなかった。こういうレース展開の時は結果論しかないかなというのもあるのですけど、今振り返ってみてもすべてがいいタイミングで正しいピットストップ戦略をしいてたと思うので、非常に良かったですね」


「(最後の赤旗でレース再開したらもっと上を狙えた?)レース終盤はさらに雨が降ること見越して柔らかめのタイヤを選んでいましたので、最後に勝負は出来たかなと思っています。それでも今日の結果には大満足です」

モノコック交換のペナルティがありつつも、SCや赤旗の展開で3位に上がった8号車ARTA MUGEN NSX-GT


「いろいろやりようはあったと思う」ペナルティを受けてしまった16号車ARTA NSX、「自然と順位を上げられた」1号車MARELLI Z


■16号車ARTA MUGEN NSX-GT 福住仁嶺 予選9番手/決勝11位
「ここまでたくさん走ることも今までなかった」


 9番手からスタートした福住は最初の雨のタイミングでステイアウトを選択するも、その直後のFCY〜SCでピットタイミングを逃してしまう。ようやくピットインできた20周目には最後尾まで順位を下げるも、そこから福住は我慢の走りを展開。ドライバー交代の周回数ギリギリまで引っ張るが、そこで赤旗が出てピットクローズ。ドライバー交代ができない状況になったが、オフィシャルの許可を得たとのことでピットインしてドライバー交代。そして5位でフィニッシュすることになったが、後に『赤旗ラインの無視」とのことで100秒加算の11位となってしまった。


(決勝直後は5位フィニッシュ。後に赤旗100秒加算で11位)仮に5位だったとしても、まったくその順位に相応しい内容だったとは言えないですね。僕らの今の実力で言うと、そこにはいなかったと思います。クルマのポテンシャルだけで言うとかなりいいところにいた感覚ではありました。コンディションが変わった状況で最初にステイアウトしましたが、その後も普通にレースができるポジションに戻るためにいろいろやりようはあったと思うのですけど、ちょっとうまく噛み合わなかったですね」


 16号車は目まぐるしく変わる天候と順位の中、ピットタイミング、そしてチームとの無線でのやり取りを含めて、走行中のドライバーとの意思疎通が今後の課題となったようだ。


「結局、ピットに入ってタイヤを変えてコースインしたタイミングが悪くて、GT300の一番後ろで再スタートしなければいけない状況になってしまった。そのタイミングが違えばまだまだ勝負権もあったと思います。僕がここまでたくさん走ることも今までなかったですし(苦笑)、チームとのコミュニケーション含めて状況がちょっとわからなかったので、僕自身も含めてまだまだ良くなれるところはたくさんあるので、もっともっと強いチームにできるなと感じました」


■1号車MARELLI IMPUL Z平峰一貴 予選12番手/決勝6位
「ノーペナルティでノーミスで行けたので良かった」


 予選で12番と低迷してしまった昨年チャンピオンの1号車。スタートを担当したベルトラン・バゲットは41周目まで走行を続け、5番手まで順位を上げたところで平峰に交代。コースに戻った時には平峰は一時8番手に順位を下げるも、最終的には7位でチェッカーを受け、16号車のペナルティで6位フィニッシュとなった。


「もともと予選の順位が順位だったので、とりあえずポイント圏内で最低でも1点を取ることが目標のような感じだったので、とりあえず7位で終わることができて(その後6位に昇格)、少し良かったかなと思いました。自分が走っている時の1回目に赤旗が出た時はそんなに雨量は多くないのにな、と思っていたのですけど、最後の方はもう雨量は多かったですね。今日はしっかり生き残ると言うことが大事だったので、ノーペナルティでノーミスで行けたので、そうしたら自然と順位も上げられたので良かったかなと。ノーポイントが一番危ないですからね」

予選12番手から昨年王者MARELLI IMPUL Zは我慢強い走りで6位入賞


■ホンダNSX-GT 佐伯昌浩スーパーGTプロジェクトリーダー/往西友宏チーフエンジニア
「いろいろ思うところはありますけど、まずまずのスタートが切れた」


8号車 ARTA MUGEN NSX-GT 予選7番手/決勝3位
16号車 ARTA MUGEN NSX-GT 予選9番手/決勝11位
17号車 Astemo NSX-GT 予選13番手/決勝7位
64号車 Modulo NSX-GT 予選3番手/決勝10位
100号車 STANLEY NSX-GT 予選8番手/決勝12位


佐伯氏
「今日は非常に荒れた展開になって、レース展開的にはどれが正解だったかはちゃんと検証しないとわかりませんけど……まあ検証してもわからない部分もあるかもしれませんけど、NSX勢としては全車完走することができました。車両交換ペナルティ、10秒STOPもらった8号車が表彰台に乗り、いろいろ思うところはありますけど、まずまずのスタートが切れたかなと思っております。次のレースもミスなくしっかりポイント重ねていってチャンピオンを目指しますので、応援よろしくお願いします」


往西氏
「ドライのままレース出来てればどうだったのかな、というのは確認したかった。そこは今回残念でしたけど、次戦以降ということで。あとはウエット路面ではNSX勢の中でも選択したタイヤによってずいぶんペースが良いクルマ、良くないクルマが出てしまったところがあったので、タイヤ選択の見極めとかが今後の課題になったなと感じております」

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