ロッシが母国でWEC初ポール。フェラーリは最前列独占も喜びきれない結果に【第2戦予選レポート】
2025年4月19日(土)23時3分 AUTOSPORT web

4月19日、イタリアのイモラ・サーキットで、WEC世界耐久選手権の2025年シーズン第2戦『イモラ6時間レース』の公式予選が行われた。予選とハイパーポールからなるシュートアウトを制したのはフェラーリAFコルセの51号車フェラーリ499P(アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョビナッツィ組)で、開幕戦に続き今季2度目のポールポジションを獲得した。
LMGT3クラスではバレンティーノ・ロッシがドライブした、チームWRTの46号車BMW M4 GT3(アハマド・アル・ハーティ/ロッシ/ケルビン・ファン・デル・リンデ)がクラスポールを獲得している。
■“ドクター”が地元で魅せた
同日午前に実施されたフリープラクティス3回目に続き、晴天に恵まれたイモラの予選。気温21℃、路面温度は38℃に達したドライコンディションのなか、定刻14時10分にLMGT3クラスの“一次予選”がスタートした。
ブロンズドライバーの搭乗が義務付けられている同セッションでは全18台中、上位10台が“二次予選”にあたるハイパーポールに進出ことができ、このハイパーポールは今季よりシルバードライバーがタイムアタックを担当することとなっている。
12分間のセッション半ば、まずは46号車BMWのアル・ハーティーが1分43秒718というタイムを刻み、これがターゲットとなったが、なかなかこのタイムを上回るドライバーが現れず、2番手や3番手が目まぐるしく入れ替わる展開に。
一方、アル・ハーティは2度目のアタックで1分42秒731を記録。自己ベストを更新し、僅差で2番手を争う21号車フェラーリや78号車レクサスといったらライバル勢を突き放した。
中団のハイパーポール進出をかけた戦いはチェッカーラップまで続き、トーマス・フローの54号車フェラーリが10番手に滑り込んだことで、ディフェンディングウイナーの31号車BMWがトップ10圏外にドロップ。しかし59号車マクラーレンのコッティンガムが、同じくラストアタックで圏外から5番手に食い込んだため、54号車も一次予選で敗退となった。
ハイパーポールに進んだのは、46号車BMW、21号車フェラーリ、78号車と87号車のレクサス、59号車と95号車のマクラーレン、27号車アストンマーティン、88号車フォード、92号車ポルシェ、81号車メルセデスの計10台。ここでもターゲットタイムを設定したのは46号車、バレンティーノ・ロッシ駆るBMWだった。
最初のアタックラップは1分43秒836。ロッシは連続アタックで1分43秒011まで縮める。これを上回ってきのは87号車レクサスのシュミッドで、残り3分の時点で1分42秒661をマーク。さらに27号車ロビションもトップには届かずも1分42秒台に入れて2番手に。さらに21号車フェラーリもロッシを上回っていく。
しかし、“ドクター”ことロッシも負けじと渾身のアタックを見せ、1分42秒355の驚速タイムでふたたびトップに。直後87号車レクサスがセクター1、2で全体ベストをつなげるも、トラックリミット違反をとられてタイム更新とはならず。この他のマシンもタイム更新は叶わず46号車がLMGT3クラスのポールシッターとなった。
トップと0.306秒差の2番手に87号車レクサスがつけ、27号車アストンマーティンが3番手に。4番手は21号車フェラーリでトップ5の最後にはもう一台のレクサス78号車が入った。佐藤万璃音のチームメイトたちがドライブした95号車マクラーレンは4列目、クラス8番手から明日の決勝に臨む。
■まさかの“ダブル違反”で跳ね馬の1台が最後尾に
ハイパーカークラスの一次予選も予定どおり15時10分に始まり、セッション半ばすぎからアタック合戦が本格化した。
最初のターゲットタイムは、ドリス・ファントール駆る15号車BMWの1分30秒607だ。これをフェラーリの51号車と50号車が1分29秒台のタイムで塗り替えるが、アントニオ・フォコがドライブする50号車のタイムはトラックリミット違反により抹消される。平川亮が乗り込んだトヨタ8号車が3番手に入った直後、83号車フェラーリがこれを上回り、さらに15号車BMWが連続アタックで2番手に食い込む。
終盤、ロバート・クビサの83号車がBMWから2番手の座を奪いフェラーリのワン・ツーに。さらに50号車が3番手タイムを出し上位を固める。トヨタは7号車を託されたニック・デ・フリースが1分30秒477を記録し、姉妹車8号車を上回る5番手に食い込んだ。8号車も12号車キャデラックに先行を許したものの、最終的に7番手となりハイパーポール進出を決めている。
ポールポジションを決める二次予選に進んだのは、6号車ポルシェ、12号車キャデラック、15号車BMW、7号車・8号車トヨタ、35号車・36号車アルピーヌ、51号車・83号車フェラーリ、そして繰り上げで10番手となった93号車プジョーの計10台だ。暫定3番手につけていた50号車フェラーリは、再度トラックリミット違反をとられハイパーポール進出を逃すだけでなく、クラス最後尾18番手から決勝をスタートすることが決まった。
ハイパーポール開始から6分、ファントール駆る15号車BMWが1分29秒885で暫定トップに立つ。しかし、すぐさま51号車フェラーリがこれを上回り、83号車も2番手で続いていく。51号車のジョビナッツィは連続アタックで1分28秒920までタイムを縮めポールを手繰り寄せると、そのまま今季2度目となるポールポジションを獲得した。
一方、クビサは自己ベストの更新ならずも2番手を確保し、フェラーリのフロントロウ独占に貢献した。その後方では8号車トヨタの平川が自己ベスト1分30秒042でBMWに次ぐ4番手につけ、デ・フリースの7号車を1000分の1秒差で上回った。
6番手はミック・シューマッハーがドライブした36号車アルピーヌ。以下、93号車プジョー、35号車アルピーヌ、12号車キャデラック、6号車ポルシェというトップ10リザルトとなっている。
6時間で争われる決勝レースは、4月20日日曜の14時(日本時間20時)にスタートが切られる予定だ。