ペナルティと接触で一時後退も、挑戦する姿勢でトヨタがダブル入賞「フェラーリと争うペースはなかった」

2025年4月21日(月)11時10分 AUTOSPORT web


 4月20日にイタリアのイモラ・サーキットで開催された2025年WEC世界耐久選手権第2戦『イモラ6時間レース』の決勝。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010ハイブリッドは接戦の上位争いを繰り広げ、セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組の8号車は5位、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース組の7号車は7位に入り、ポイントを獲得した。


 現地13時、7号車コンウェイ、8号車ハートレーのスタートドライバーで6時間レースに臨んだTGR。2台のGR010ハイブリッドは序盤から表彰台圏内を争っていたものの、レース2時間に7号車が20号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームWRT)と接触。パーツ回収のためにフルコースイエロー(FCY)が導入され、7号車と8号車はこのタイミングでピットインを行う。



 幸いにも接触した7号車のダメージは軽く、デ・フリースにドライバーをチェンジして走行を続ける。僚友8号車はハートレーから平川にドライバー交代するも、FCY中の速度違反でドライブスルーペナルティが科され、順位を落としてしまった。


 その後レース3分の2を過ぎようとするなか、LMGT3クラスのアクシデントでセーフティカー(SC)が導入され、このタイミングで7号車は小林、8号車はブエミにドライバーを交代し、左タイヤはソフトのまま、それぞれ右タイヤを新品のミディアムに交換する。このSCによりギャップがリセットされたことで、ここから緊迫の上位争いが続く。



ピットストップを行う7号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing) 2025年WEC第2戦イモラ

 そのなか、8号車はコース上の混雑を避けるために20分後という早いタイミングで給油ピットインを選択し、一時は首位に立つことに成功。7号車も2番手を走行する6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)を追い、小林がリバッツァのひとつめでインを差してオーバーテイクを決めるなど、TGRが見せ場を作る。


 2台のGR010ハイブリッドは、フィニッシュに向けて交換せずに走り続けた古いタイヤをコントロールし、8号車は残り10分で15号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームWRT)をパスし5位チェッカー、7号車も7位フィニッシュを果たし、開幕戦に続くダブル入賞を果たした。


 この結果、TGRはトップのフェラーリと39点差のマニュファクチャラーズランキング3位となり、ドライバーズランキングでは8号車がトップから25点差の6位、7号車が32点差の7位につけている。WECの次戦は5月10日にスパ・フランコルシャンで6時間レースが行われ、その次はTGRが6度目の勝利を目指すル・マン24時間レースだ。



2台のトヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing) 2025年WEC第2戦イモラ

■「表彰台を逃す痛恨の結果」「フェラーリと戦うためのペースはなかった」/TGRドライバー決勝後コメント


小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)


「我々にとって厳しいレースだったのは明らかでした。終盤にはタイヤの摩耗が激しく、最後の2スティントでは攻めることができませんでした。おそらく、僕のスティント序盤でポルシェ6号車を追走したことで、タイヤの摩耗が予想以上に進んでしまったのだと思います。全体的に見ても、我々にはフェラーリと戦うための十分なレースペースがありませんでしたが、彼らのイモラでのホームレース勝利を祝福します。次戦のスパではより良いパフォーマンスを発揮できるよう頑張ります」



小林可夢偉(7号車トヨタGR010ハイブリッド/TOYOTA GAZOO Racing) 2025年WEC第2戦イモラ

マイク・コンウェイ(7号車ドライバー)


「一時は表彰台を狙える位置にいたと思ったのだが、最後の2時間でそのチャンスを逃してしまった。残念だけど、チーム全員が懸命に戦って得た結果だ。他車との接触があったのも残念だった。BMWとのバトルの影響で順位を落とすことになってしまった。この週末はもっと良い結果が期待できると思ったのだが、運に恵まれなかった。それでも、これからもプッシュを続けるよ」


ニック・デ・フリース(7号車ドライバー)


「なぜ7位という結果で終わったのか理解が難しく、正直なところ、何と言っていいか分からない。我々はクリーンなレースを戦うことができ、エンジニアとメカニックの努力には感謝している。しかし、最後はレースペースが足りず、表彰台のチャンスを逃すという痛恨の結果になった。もう少しいい結果を期待していたから、次は強くなって戻ってこられるよう、チームとともに努力を続ける」



マイク・コンウェイとニック・デ・フリース(7号車トヨタGR010ハイブリッド/TOYOTA GAZOO Racing) 2025年WEC第2戦イモラ

セバスチャン・ブエミ(8号車ドライバー)


「今日は他車との接触やペナルティなど、いろいろなことがあった。表彰台も狙えたかもしれないが、全体を考えると、多くのポイントが獲得できた、まずまずな一日だったと思う。フェラーリのレベルには届かなかったが、そのなかでも全力を尽くした。自分のパフォーマンスには満足しているし、チームとしても2台揃って多くのポイントを獲得できて良かった。次はスパで上位争いができるように、全力で取り組んでいく」



セバスチャン・ブエミ(8号車トヨタGR010ハイブリッド/TOYOTA GAZOO Racing) 2025年WEC第2戦イモラ

ブレンドン・ハートレー(8号車ドライバー)


「今日は大変な戦いになった。最初の2スティントはクリーンなレースで、我々は4番手を走行しながら前をいくBMWにプレッシャーをかけ続けていた。そこまではいい戦いができていたが、残念ながらFCY時の速度違反でペナルティを科されることになってしまった。幸いにも、最後のSC後、チームの素晴らしい戦略でその影響を最小限に抑え、セブ(ブエミ)はコース上がクリーンななか、フェラーリ50号車と素晴らしいバトルを展開した。結果としての5位は、レースペースが不足していたこの週末を考えれば、ダメージを最小限に抑えられたと思う。今日は、これ以上できることはほとんどなかった」



ブレンドン・ハートレー(8号車トヨタGR010ハイブリッド/TOYOTA GAZOO Racing) 2025年WEC第2戦イモラ

平川亮(8号車ドライバー)


「非常に難しいレースでした。着実なレースペースでスタートを切りましたが、不運なペナルティにより大きく順位を落とすことになってしまいました。しかし、結果的に諦めることなく、上位争いへ復帰するために異なる戦略を試すことにしました。この挑戦が功を奏し、エキサイティングなバトルを繰り広げることができました。ペナルティを考慮すれば、5位という結果は現状における最良の結果でしょう。もちろん、いつでももっと上位の結果を望んでいるので、気持ちは複雑ですが、スパではより強くなって戻ってきたいと思います」



平川亮(8号車トヨタGR010ハイブリッド/TOYOTA GAZOO Racing) 2025年WEC第2戦イモラ

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