金曜日に抜てきの巨人・赤星優志が冷静沈着な投球で2勝目 仲よしの前で見せる“素顔”は「ボケ続け」て「ケラケラ笑っている」
2025年4月19日(土)5時0分 スポーツ報知
5回1失点の粘投を見せた先発の赤星(カメラ・清水 武)
◆JERA セ・リーグ ヤクルト2—7巨人(18日・神宮)
巨人がヤクルトを下し、貯金を再び1とした。不振で2軍に降格した戸郷に代わって金曜日に抜てきされた赤星優志投手(25)が、中5日ながら5回1失点と粘って2勝目。打っては3回2死から内野安打を放ち、この回3得点の起点になった。
顔色一つ変えなかった。バットが空を切ると、赤星は悠々とベンチへと歩いた。3—1の5回。先頭・中村悠の安打から2死二塁のピンチを背負ったが、西川を鋭く落ちるフォークで空振り三振に仕留めた。中5日ながら5回82球、6安打1失点で今季2勝目。「何とか1点で抑えられたのはよかった。ただ、走者はすごい出してしまって、要所で甘くなるボールが多かった。もっと試合の流れも持ってこられるようにしたい」と冷静に振り返った。
エースの戸郷が不振で2軍に降格した緊急事態の中、カード初戦で役割を全うした。3—0の4回にオスナに投手強襲の適時打を浴びて1点を返されたが、崩れなかった。最速150キロの直球にフォークやカットボールなどを根気よく投げ込み、5奪三振。今季初登板から4試合連続で与四球なしと持ち味を発揮している。戸郷に代わって中5日でエース級が並ぶ金曜日を託されたが、「気負わず、いつも通り1アウトでも多く投げられることを意識して」と自然体でマウンドへ。山崎、井上に続き、エース不在を救う力投を見せた。
バットと足でも貢献した。両軍無得点の3回2死。小川のスライダーに食らいついて二塁内野安打で出塁した。続く泉口の打球が左中間を割ると、全力疾走で先制のホームを踏んだ。「打つのはあんまり得意じゃないので、頑張って走ってヒットになってよかったです」と、はにかみながら頭をかいたが、赤星の一打から4者連続安打で一挙3得点を挙げて主導権を握った。
1年目から若手とは思えない冷静沈着さで、ポーカーフェースを貫いてきた。1勝目を挙げた3月29日のヤクルト戦で、ヒーローの甲斐と記念撮影した際も真顔。球団カメラマンも「赤星はいつも誰かの後ろに隠れてカメラを避けるんです」と困り顔を浮かべるほどだ。しかし、実は変わろうとしている。球団公式サイトのプロフィルには、好きな言葉・座右の銘、アピールポイントに「笑顔」と記した。仲よしの泉は「僕らの前では一生ボケ続けてる。TikTok(動画投稿アプリ)、インスタとか流行に割と早く乗っかってケラケラ笑ってる」と裏の顔を明かす。
投げて打って走って、カード初戦勝利の立役者となった。赤星は「今年はたくさん勝って笑えるといいですね」と新たなテーマを掲げるが、その表情は真顔だった。「5回で降りてしまったので、何とかもっと投げられるように」。表情一つ崩さない男に満面の笑みが広がったとき、チームの明るさもいっそう増していく。(水上 智恵)
◆清水隆行氏Point フォークのキレいい
赤星は今季、フォークのキレがいい。左打者に内角へ強い真っすぐを投げられていたから、外へのフォークもより有効に決まっていた。5回1失点と粘り強いピッチングで2勝目を手にしたことは見事ではあったが、3〜5回と毎回、先頭打者に安打を打たれてピンチを背負い、重苦しい内容になってしまった。イニングの先頭を切っていければ、もっとリズミカルに投球ができるはずだ。(野球評論家・清水 隆行)