遠征帰りの機内で目撃した“不自然行動”「プロ野球とファン」を考えさせられた恒例の坊っちゃんシリーズ
2025年4月19日(土)17時0分 スポーツニッポン
4月15日、ヤクルトにとって毎年恒例となっている坊っちゃんスタジアム(愛媛県松山市)での公式戦が開催された。1—5で阪神に敗れ、燕党にとっては残念な結果に終わった。ただ、熱心なファンの多い阪神が相手ということもあり、球場には2万6943人の大観衆が詰めかけて満員御礼に。試合後、高津監督は「たくさんのお客さんに入っていただいて、野球をやる中では凄く気分が良かった。本当にありがたかった」と感謝の言葉を口にした。プロ野球においてファンの存在が不可欠であると再確認する一日となった。
一夜明け、チームは空路で帰京した。記者もチームと同じ便で移動。座席は機内やや前方の窓側と通路側に挟まれた席だった。席に座ると、左隣の窓側に座っていたファンとみられる女性のある行動に気がついた。右手で持っていたスマホの角度が明らかに不自然だったのだ。背面にあるカメラのレンズを機内の通路に向けているように見えた。その先には、後方の座席に向かってゆっくりと前に進む選手たちの列が。通路からチーム関係者がいなくなると、動画撮影の停止音とみられる「ピコン」という音が聞こえた。
昨今、機内での盗撮に関するトラブルが多発しているという。この便でも機内のモニターには「NO!盗撮」という啓発動画が流れ「周囲へのご迷惑や安全・業務の妨げになる場合があるため、他のお客様や乗務員などの無断撮影はご遠慮ください」と呼びかていた。女性の行為は禁止されている“隠し撮り”に該当するのでないか。
松山空港の待合スペースでも搭乗案内を待つ選手たちにカメラを向けて撮影しているファンの姿があった。同乗していた広報担当の球団職員にこれらの行為について見解を求めたところ「移動中やオフ、公共の場やプライベートの時間はカメラを向ける行為はご遠慮願いたい。ユニホームを着ている時は人から見られていると思って行動しているが、球場を離れてからもこっそりカメラを向けられると落ち着ける時間がなくなってしまうので。ご配慮いただけるとありがたい」との答えが返ってきた。
大好きな選手が目の前にいて、思わずカメラを向けたくなるファン心理も分からなくはない。ただ、プロ野球選手もグラウンドを離れれば一人の人間だ。ある選手は言う。「こっそり撮られるのは良い気分はしないですね。だったら“写真いいですか?”って声をかけてもらった方がいい。一緒に撮れる状況なら対応するんで」。もし自分が公共の場で見ず知らずの人にスマホのカメラを向けてこっそり写真や動画を撮られてたらどんな気持ちになるだろうか。想像してみてほしい。
(記者コラム・重光 晋太郎)