DeNA石田裕が思いを込める「From Bayside」 知られざる「Jo」との絆をファンに初紹介
2025年4月24日(木)8時0分 スポーツニッポン
DeNAの2年目、石田裕太郎投手(23)の本拠地登板時に流れる「From Bayside」。力感あるヒップホップが、横浜育ちの右腕を後押しし、仲間との絆を再認識させていることを知る者は少ない。
アーティストはラッパーの「Jo Junior(ジョー・ジュニオール)」。個人で活動する無名の23歳は、中学時代に硬式野球「神奈川横須賀ボーイズ」で石田とチームメイトで、将来のプロ野球入りを夢見ていた。
Joは言う。「裕太郎とは一緒にいる時間が長かった。お互い普通の中学生だった…。それから彼はベイスターズに入った。ちょうどその時期に仲間うちで野球も意識した地元の曲をつくった。“せっかくなら裕太郎に登場曲で使ってもらおうぜ”となりデータを送ったら、彼も“格好いい”と言ってくれた。だから、仲間の思いがこもった曲であり、裕太郎にもあてはまる曲でもあるんです」。
♪鳴る汽笛は出航の合図
♪大岡川光る朝焼け
♪杉田家に並ぶ朝ラーで
♪上大岡の丘から見下ろす街
♪ワンマンで浜スタに立つ夢見て
横浜市南部を走る京浜急行沿線で育った2人にとってシンボルとなる名が歌詞として多く登場し、横浜スタジアムも飛び出す。
記者は、Joと京浜急行上大岡駅近隣で会食し、「From Bayside」のイメージと違い、「こういう形でいろいろ話す経験がなくて」と緊張して語りかける人柄に、一気に吸い込まれた。
高校は静岡県内の飛龍に進学した。同県の静清に進んだ石田とは、県内のライバルとなった。そのことが、2人の友情が続く要因にもなった。結局Joは高校で野球に終止符。友人の影響でこのジャンルに興味を持ち、ライブに足を運ぶうちに「やる側」になった。
お互い体の線も細かった中学時代。2人は、10年後に横浜スタジアムに流れる「From Bayside」で、つながりを確認し合うとは夢にも思わなかっただろう。
新人年の昨季、4勝した石田は現在、先発ローテーション入りを目指し2軍調整を続けている。チームの戦力としてはい上がろうと全力姿勢を見せつけている。
近い将来、Joは新曲を発表する。石田は新曲を登場曲として使用するつもりだ。だが記者は、「From Bayside」に乗って本拠地で今季初勝利する石田の姿をもう一度この目に焼き付けたいと思っている。その思いは、地元をこよなく愛す2人にも共通していることは間違いないはずだ。(記者コラム・大木 穂高)