厳格化された米女子ツアーのスロープレー新対策…実際ペースは早くなった? 日本勢の“反応”は?【現地記者コラム】

2025年4月22日(火)14時31分 ALBA Net

選手のペースプレーをより厳密に計測…その実態はどうなってる?(撮影:ALBA)

米国女子ツアー(LPGA)では今年から、プレーペースについての新たな規定が設けられた。スロープレーに対して罰金から罰打が科されやすいルールに改正。その成果はどうなってるのだろうか?


これまでは規定時間を1〜10秒超過すると罰金、11秒以上で2罰打が科されていたが、新規定では1〜5秒の超過で罰金、6〜15秒の超過で1罰打、16秒以上の超過で2罰打とされ、最初に罰打が科されるまでの超過時間が短縮された。

スロープレーは昨今のLPGAが抱えてきた大きな問題のひとつだった。昨年最後のフルフィールド大会「ザ・アニカ・ドリブンbyゲインブリッジatペリカン」の第3ラウンドでは、中断があったわけでないにも関わらず進行が遅れ、最終組のプレー時間は5時間38分。テレビ放送も延長を余儀なくされ、スロープレー問題の話題がやむことはなかった。

そこで登場した新規定は今年2月に発表。“お試し”のような期間も設けられ、3月の今季第6戦「フォード選手権」から適用されている。初めて発表されてから6試合、適用からは3試合が行われた(マッチプレーを含む)。

筆者が規定適用後初めて取材したトーナメントが、先週の「JMイーグルLA選手権」だった。144人が出場のフルフィールドで、予選ラウンドは午前・午後組に分かれる3サム。第1ラウンドの最終組は午後2時16分にティオフし、ホールアウトは午後7時10分。第2ラウンドは同じく午後2時16分→午後7時5分という結果だった。決勝ラウンドは2サム1ウェイだったため割愛する。

距離もそれほど長くはなく、バーディ合戦になった同大会。予選ラウンドは太陽が雲に隠れて肌寒かったとはいえ、風はそれほど強くはない。アウトとインのインターバルが遠かったが、ほかにプレーを遅くさせる原因はなかったように思われる。そのなかでプレー時間は約4時間50分。4時間41分想定であることを踏まえると、“まずまず”といったところだろうか。

コースを歩いていると、タイムを計っているルーリングの人が、これまでよりも多かったようにも感じられた。おもむろにカートに置いてあったタイムキーパーの表を覗いてみると、数字がちらほらと記入されている。

では、選手はどのように感じているのだろうか。新規定発表時に賛同していた米9年目の畑岡奈紗は「ワーニング(警告)を受けるのはしょうがないかなと思うけれど、そこからタイミング(計測)を受けないように努力はしている」と話し、ツアー全体の意識づけが強くなったと感じている。

米3年目の勝みなみは「人にもよるけれど、だいぶ速くなった。練習ラウンドも速くなったような気がする」という。それでもツアーに慣れていないルーキーはスロープレーになりがちだとか。そして「もっと重い罰でもいいと思う。失格とか出場停止とか。(規定を)決めるなら一番ひどい(罰則)のにした方がいい」と付け加える。日本でもスロープレーについての規定があるにも関わらず、罰則を科されていないことも例に挙げ、さらに厳格化するべきだと話した。

2年目の西郷真央は「正直、LPGAの選手はプレーが遅い…。ペースアップした感覚はないですね」とキッパリ。そして遅延した時に組全体に警告→選手それぞれの計測になることや、その計測方法にも疑問が残るという。

「組に警告が入っても、一番の原因を作っている人に自覚がなくて、自分じゃないって思いこんでいることは多い。“あなたは急いでくださいね”というひと言があれば、自覚を持って速くしてくれるのに…と思います。実際に計測されたシートを見ても、ほかの選手が拍手をもらった時点でアドレスしたホールで20秒って書かれていた。(計測が)正確でないようにも感じます」

新規定では、プレータイムの計測が合計40ホールを超えた選手(一部試合を除く)にも罰金が科される。プレーが遅い選手と同組で回る選手も計測対象であるため、“とばっちり”を受ける形になる可能性だってある。

新規定の適用は始まったばかりで、米女子下部のエプソン・ツアーでは今週の「IOA選手権」から採用される。プレー時間はコースコンディションや天候によって左右されるものでもあるが、LPGAの一番の課題ともいえる問題が、改善に向かうことを願いたい。(文・笠井あかり)


<ゴルフ情報ALBA Net>

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