大谷翔平が利用した産休制度「父親リスト」日本ラグビー界で明文化へ 選手が離脱できなかった事例受け

2025年4月24日(木)4時0分 スポーツ報知

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 ラグビー・リーグワンが、MLBで導入されドジャース・大谷翔平投手(30)も利用した産休制度「父親リスト」制度の明文化に着手することが23日、分かった。東海林一専務理事(60)が明かした。リーグワンでは試合48時間前の選手登録以降、負傷や急病以外の変更についてルールが明記されておらず、埼玉が、試合前日に第2子が誕生したNO8ジャック・コーネルセン(30)を離脱させることを断念した事例があった。日本のスポーツ競技団体では異例の取り組みに、ラグビー界が踏み出す。

 リーグワンが“父親リスト”制度導入へ動き出した。この日、都内で取材に応じた東海林専務理事は、コーネルセンの事例を受け「大きな反省」とコメント。これまで、試合48時間前の選手登録以降、負傷、急病以外の選手変更におけるルールは明文化されておらず。「今回の件を踏まえて早期に明文化し、方針を共有したい」と、出産立ち会いなどの場合におけるルールの整備を行っていくとした。

 埼玉のNO8コーネルセンは、10日に第2子が誕生した。チームのロビー・ディーンズ監督(65)は家族の状況を把握後、同選手をチームから離脱させようとしたが、既に11日の三重戦に向けて出場登録済みだった。登録選手の変更は、負傷などの場合「医学的診断書」を提出し承認が得られれば可能だが、その他の「やむを得ない事情」については具体的な明記はなし。チームは同選手の変更が難しいと判断していた。

 コーネルセンは出産に立ち会い、三重戦に出場したがディーンズ監督は「間違いなく家族が優先」と心置きなく夫人に寄り添うことを望んでいた。「人が大事。制度が明文化されれば(チーム運営も)ストレスがなくなる」と指揮官。リーグによれば、出産立ち会いでの選手変更が認められたケースは22年にあった。東海林氏は「きちんと明文化して、次からは大丈夫ということをチームや選手、リーグで共通認識として立てていきたい」と強調した。

 リーグは今後、想定される個人的な「やむを得ない事情」を分類して、ルールの素案を作成する方針。理事会での承認を経て、2025—26シーズンからの導入を目指す。素早い対応を受け、ディーンズ監督もチームを通して「素晴らしい対応です」とコメントした。

 国内のスポーツ競技団体では、産休制度などを明文化している例は珍しく「我々も勉強して受け入れ、必要な制度に落としていくことは必要。このような考えは、全員でサポートされるべきもの。気がついた時に、なるべく早く実現することが大切だと思っている」と東海林氏。ドジャースの大谷が取得し、注目されたMLBの産休制度。ラグビー界の決断は、日本のスポーツ界に大きな一石を投じることになりそうだ。

 ◆リーグワンの試合前選手登録における現行ルール

 ▽人数 メンバー充足人数は、22名以上23名以内。

 ▽試合登録選手 キックオフ48時間前までに、22名以上23名以内のメンバーを登録。

 ▽48時間前登録選手の変更 負傷または急病等やむを得ない事情があり、かつ、主審およびマッチコミッショナーの承認を得た場合に限り認められる。変更の事由が負傷または急病の場合は、JRLO(ジャパンラグビーリーグワン)が定める「医学的診断書」を提出し、承認を得なければならない。

◆Jリーグ野々村チェアマン「各クラブの対応で可能」 

 米大リーグの大谷投手が父親休暇リスト入りしたことについて、Jリーグの野々村芳和チェアマン(52)は「各クラブの対応で十分可能だと思っている」と私見を示した。リーグの規約では試合開始の150分前に各クラブはメンバーのエントリーを済ませ、負傷や病気などの場合に変更できる仕組みとなっている。あるJクラブ関係者は「時代的にはあり」と父親リストに賛成し「(現状で)制度はないが、家族あっての選手。本人の意思を尊重させているのが基本路線」と出産立ち会いなどを認めていると語った。

◆バレーSVリーグも予定なし…試合60分前に7人を出場選手登録でOK

 バレーボールの大同生命SVリーグは、出場選手登録が各試合の開始60分前に定められており、ベンチメンバーの最低数の7人を満たしていれば、試合が実施できる。各チームの選手登録数も制限がなく、柔軟に対応できるため、罰則もない。今後も「父親リスト」の制度を新設する予定はなく、リーグ広報は「どんな理由でも選手を休ませることは、各チームの判断にゆだねている」と語った。

スポーツ報知

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