日本ハム・伊藤大海 魂の今季最多130球「ここで降りたら、男じゃない」

2025年4月30日(水)6時0分 スポーツニッポン

 ◇パ・リーグ 日本ハム2—1ソフトバンク(2025年4月29日 みずほペイペイD)

 これぞ、エースだ。日本ハム・伊藤大海投手(27)が29日、敵地でのソフトバンク戦に先発し、今季最多130球を投げて9回5安打1失点、9奪三振で今季3勝目を手にした。モイネロとの投手戦を制し、今月1日の本拠地開幕戦で黒星を喫した宿敵にリベンジに成功した。延長10回の末に勝利したチームは貯金1とし、リーグ2位タイに再浮上した。

 8回を終えて既に112球を投げていた。ベンチで、伊藤は加藤投手コーチから続投か否かの相談を受けた。もちろん、答えは「続投」だ。「ここで降りたら、男じゃない」と自らに言い聞かせ、9回のマウンドに上がった。エースの意地だった。

 昨年のCSファイナルステージ第1戦。このみずほペイペイでの大事な一戦で、先発を任されたが、6回途中4失点KO。チームも3連敗で日本シリーズ進出はならず。新庄監督から任された今季の本拠地開幕戦でも、ソフトバンクに5回9安打5失点で敗れた。

 もう、負けたくない。苦い過去が原動力となり、今季最多130球を投げ、9回1失点で9奪三振の快投につながった。昨季最優秀防御率のモイネロとの投げ合いも制し「ソフトバンクは万全じゃない中で、どんな選手が出てきても凄い。ソフトバンクに勝てたというのがうれしい」とはにかんだ。

 9回も直球は150キロ超を何度も計測した。無尽蔵のスタミナを見せつけたが、「今日はいろんな球でストライクを取れて打ち取れたので、あまり球数での疲れは感じていなかった」とあっけらかん。そんな姿が、より頼もしく見えた。

 後輩へのエールにもなる1勝だ。母校の北洋大(在学当時苫小牧駒大)野球部が、今年度限りで休部することになった。駒大苫小牧から進学した駒大では、環境になじめずに苫小牧駒大に編入。地元の北海道に戻っても、高い意識を持ちながらプロを目指した場所だった。思い入れがある母校へ、「夢を与え続けていきたいし、僕もまだまだ上を目指していきたい」と意気込んだ一戦で、見事に勝利を呼び込んだ。

 延長にもつれ込む手に汗握る投手戦。新庄監督さえも、試合後に報道陣の前に姿を現すと開口一番、「あ〜、楽しかった」と笑わせた。「(伊藤は)凄い。素晴らしい。体力あるし、よう投げ切りましたね。あの勢いだったら、14回ぐらいまで行くよ」とジョークもさえた。2位タイに再浮上の立役者は「投球と攻撃と守備と、いろんなものがかみ合ったいい1勝」と言った。この勝利が、乗り切れなかったチームに勢いを与えた。(田中 健人)

スポーツニッポン

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