フォードvsヒョンデの一騎打ち。イングラム撃破のサットンが連勝発進、チルトンも初優勝/BTCC開幕戦

2025年5月1日(木)17時30分 AUTOSPORT web


 新しい完全再生可能エネルギー時代の幕開けとなった2025年のBTCCイギリス・ツーリングカー選手権が、4月25〜27日にドニントン・パークで開幕。予選ではダン・カミッシュ(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)が今季最初のポールポジションを射止めると、決勝はその僚友でシリーズ“4冠”を誇る元王者アシュリー・サットン(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)が連勝発進を決めることに。


 この週末の間、フォード陣営に対し最大のライバルとして立ちはだかった2022年王者トム・イングラム(チーム・ヴェルツ/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)は未勝利に終わったものの、チームメイトのトム・チルトン(チーム・ヴェルツ/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)が最終ヒートを制している。



 恒例の開幕前公式テスト“メディアデイ”を開催した4月中旬に続き、いよいよ迎えた同地ドニントンでのオープニングラウンドには、チャンピオン経験者4名と16名もの優勝経験者を含む、総勢24台の実力派エントリーが集った。


 今季より共通ハイブリッド機構を廃止すると同時に、100%完全持続可能燃料の導入を宣言したNGTC規定ツーリングカーは、2リッター直列4気筒直噴ターボのブースト圧を維持しつつ、追加パワーを時限制のブーストアップで実施することに加え、電動機構を降ろしたことで約55kg軽量化に成功。歴代最速モデルとなっている。


 こうして始まった週末は、最初のフリープラクティス(FP)から2セッション連続でイングラムが最速タイムを記録したが、先行するヒョンデに待ったを掛けるべくアライアンス・レーシングのフォード・フォーカスSTが予選で躍動。既存のラップレコードをわずかに上回るラップを刻んだカミッシュが、僚友サットンとイングラムを抑えてポールポジションを獲得した。


「今年最初のポールポジションは本当に素晴らしいね。FPから上位争いを繰り広げていたが、肝心なところで最後にいい結果を出すことができた」と満足げに語ったカミッシュ。


「ドニントン・パークではいつも良いコンディションとは限らないし、展開に恵まれない気がしていた。だからこそ今回の最速は大きな意味を持つ。とくに今季、全員が同じ量のブーストを得ているのは今回が唯一だから、全員がどの程度のスピードを持っているのかを真に理解できる。明日に向けチームとして良い状態にあるから、あとは決勝で結果を出せるかどうかだけだね」



今季より共通ハイブリッド機構を降ろし、約55kg軽量化に成功。歴代最速のNGTC規定ツーリングカーに


予選ではダン・カミッシュ(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)が今季最初のポールポジションを射止める


明けたレース1のスタートで完璧なホイールコントロールを披露したのはフロントロウに並んでいたチャンピオン経験者サットンに


チルトンと最終シケインで絡んだジョシュ・クック(ワン・モータースポーツ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR)は、タイヤスタックに激突する波乱の展開に

 そう語ったカミッシュの言葉を受けてか、明けたレース1のスタートで完璧なホイールコントロールを披露したのはフロントロウに並んでいたチャンピオン経験者サットンの方で、ソフトを装着したフロントタイヤで抜群の蹴り出しを見せると、すぐさま“Redgate(レッドゲート)”出口で首位を奪う。


 ここから僚友に喰い下がったカミッシュだったが「展開に恵まれない」ドニントンの呪縛か。左フロントの消耗が激しくパンクを喫し、レース中盤のセーフティカー(SC)で交換のロスタイムを挽回しながらも8位が精一杯の結末に。


 猛追のイングラムを抑えたサットンが先勝し、3位にダニエル・ロウボトム(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)、4位にディフェンディングチャンピオンのジェイク・ヒル(レーザー・ツールズ・レーシング・ウィズ・エムビー・モータースポーツ/BMW 330i Mスポーツ)がセットアップに苦心しながらも粘り強く滑り込んだ。


 これでタイヤマネジメントの勘どころも掴んだサットンは、続くレース2でもまるで前戦のコピーのような完璧なレース運びで完勝。イングラムを退けるとともに、悔しい思いからの反撃なったカミッシュが3位表彰台を手にした。


 そして予選“Quick Six(クイックシックス)”のリバースポールから出たチルトンは、その際に電気系統のトラブルでストップしていた無念を晴らすべくレース3で快走。ソフトタイヤで逃げ、最後まで誰にも追随されることなくライト・トゥ・フラッグを決めると、後方ではイングラムとサットンがふたたび激しい攻防を繰り広げ、終盤まで意地を見せたイングラムがチーム・ヴェルツのワン・ツーを完成させることに。


 これで3位のサットン、4位カミッシュ、5位アダム・モーガン(チーム・ヴェルツ/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)に6位はフロントロウ発進から遅れたロウボトムと、上位の6台をヒョンデとフォード勢が占める結果となった。


「週末2勝と表彰台1回。これ以上望むものはないね。本当に素晴らしい1日だった」と前人未踏のシリーズ“5冠”に向け、開幕ダッシュを喜んだサットン。


「最終レースではトム(・イングラム)に3勝差をつけようと狙っていたが、公平に言えば彼らは素晴らしい仕事をした。本当に素晴らしい開幕で(第2戦の)ブランズに到着するのが待ち切れない気分だが、ただブーストが使えないのはちょっと残念だね」


 その言葉どおり、次戦となる2025年のBTCC第2戦は5月10日〜11日にブランズハッチで開催される。



「週末2勝と表彰台1回。これ以上望むものはないね。本当に素晴らしい1日だった」と前人未踏のシリーズ”5冠”に向け、開幕ダッシュを喜んだサットン


電撃復帰のゴードン・シェドン(TOYOTA GAZOO Racing UK with IAA/トヨタ・カローラGRスポーツ)は予選13番手も、後半2ヒートでポイントを獲得


「クルマが軽量になり、ここ数年で初めて、昔の自分を取り戻したような気がする」とレース3勝者のチルトン(右)


「いつものように全力を尽くした。それでも(陣営内で)最速のBMWだったが、苦戦している。まだ解決策は見つかっていない」と王者ジェイク・ヒル(レーザー・ツールズ・レーシング・ウィズ・エムビー・モータースポーツか/BMW 330i Mスポーツ)

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