DeNA・林が号泣劇打「見にくるのが最後かも...」の祖母の前でヒーローに「打ててよかったですっ!」
2025年5月10日(土)5時30分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ DeNA4−3広島(2025年5月9日 横浜)
「ばあちゃん、頼む。力を貸してくれっ!」。3—3の延長10回1死二塁。DeNA・林は愛知から足を運んだスタンドの祖母へ祈った。森浦の直球を捉えた打球が左中間を破る。3年目で初のサヨナラ打。お立ち台では涙をこらえられなかった。
「今日、家族と(母方の)おじいちゃん、おばあちゃんが来ていた。ばあちゃんは足が悪くて見にくるのが最後かもって。年明けには(父方の)おじいちゃんも亡くなって…。だから、打ててよかったですっ!」
途中出場で流れを呼び込んだ。「守備と走塁が売りの選手」と自らを評する内野手が、走攻守で輝きを放った。1点を追う8回に代走に送られると1球目で二盗に成功。10回2死での三塁守備では坂倉の邪飛をカメラマン席に飛び込みながら好捕した。「捕ったら落ちていた。必死に受け身を取った」と興奮気味に振り返った。
シーズンでは代走、守備固めの起用が続く。打撃に関しては「オフに(母方の)じいちゃんに手作りの打撃資料を出された。野球経験のない人に渡されて、“こんなんじゃ、あかん”と思った」と振り返るほど、自身の弱点だった。
チームは今季初のサヨナラ勝ちで勝率5割に復帰。三浦監督も「がむしゃらにプレーしてくれている」と脇役の働きぶりを称えた。林は「毎試合、命懸けて根性を出してやろうと思っている。シーズンが終わるまで続けたい」と満員のファンに訴え、頬から落ちる大粒の涙を拭った。(大木 穂高)