日本ハム・古林睿煬がデビュー3戦目でマダックス達成 台湾出身投手で最速の快挙を新庄監督が“アシスト”していた
2025年5月12日(月)6時0分 スポーツ報知
田宮(左)と勝利のタッチを交わす古林(カメラ・上村 尚平)
◆パ・リーグ 日本ハム4—0楽天(11日・エスコンフィールド)
最後の打者を遊ゴロに打ち取ると、古林睿煬(グーリン・ルェヤン)投手(24)はグラブをたたき会心の笑みを見せた。来日2勝目は9回2安打無四死球、7奪三振での完封劇。台湾時代は9回完投もない右腕が、プロ初完封を98球の見事なマダックス(100球未満の9回以上完封勝利)で飾り「ストライク先行を意識して投げられた」と満足げに振り返った。
レジェンドに並んだ。台湾出身投手がデビュー3戦目までに完封勝利を挙げたのは1985年の西武・郭泰源以来、40年ぶり。最速154キロの真っすぐで押し込み、カーブなど変化球も制球よく投げ分けた。6回2死から初安打を許してもペースは乱れず「安打は出るもの」と冷静に快挙を成し遂げた。
新庄監督の“アシスト”もあった。指揮官は「素晴らしかった。グーリンだけにぐうの音も出なかったね。8回かな、ピッチングコーチの遠めで、『完封させたいなぁ』って言いました。遠くからやまびこのようにね(笑)」。基本的に継投は任せているが、続投希望をあえて伝えた。「グダックス…、語呂がちょっと違う。これからもあるから、ファンの方たちにつくってほしいですね」と新たな代名詞にも期待した。
自他ともに認めるおばあちゃんっ子。母の日にちなみ、祖母との思い出を聞かれると「日常的な、例えば『クレヨンしんちゃん』のように、ふざけたことをして怒られた。(いたずらっ子だった?)そうですね」と笑った。「どこにいてもどんなピッチングをしても、応援しているから」と背中を押された祖母へ、感謝の白星を届けた。
チームは今季2度目の4連勝で、リーグ最速で20勝に到達。オリックスをかわし、4月2日以来の単独首位に浮上した。登板間隔をあけるため、1度抹消される古林は「先発陣もみんなすごい成績を残している。吸収したり学びながら、彼らについていっている感覚」。成長を続けながら好調先発陣の一角を担い、首位に立ったチームに活力をもたらしていく。(山口 泰史)
◆古林 睿煬(グーリン・ルェヤン)2000年6月12日、台湾・台中市生まれ。24歳。桃園市立平鎮高級中から18年ドラフト1位で台湾・統一に入団。23年アジアプロ野球チャンピオンシップでは、日本を相手に6回1死まで完全投球を見せた。24年は10勝2敗、防御率1.66で台湾MVP。同年オフにポスティングシステムを利用し日本ハム入り。184センチ、81キロ。右投右打。既婚。推定年俸は6000万円。
◆記録メモ 古林睿煬が9回2安打で完封。台湾出身投手が初登板から3登板目までに完封したのは3登板目となる85年4月25日ロッテ戦(西武)の郭泰源(西)以来2人目だ。また、今季は10日の村上(神)以来3人目、パでは初のマダックス。2リーグ制以降で台湾出身投手のマダックスは88年4月23日近鉄戦の郭泰源(西)、11年8月17日巨人戦のチェン(中)に次いで3人目となる。球団の助っ人外国人のマダックスは95年7月4日西武戦(東京D)のグロス、02年4月10日ロッテ戦(千葉マリン)のミラバル以来3人目。