【玉ノ井親方 視点】大栄翔 王鵬を下した“一歩目の速さ” 乗っていけば怖い存在に
2025年5月15日(木)19時48分 スポーツニッポン
◇大相撲夏場所5日目(2025年5月15日 東京・両国国技館)
勝敗を分けたのは立ち合いの踏み込みの差だった。大栄翔は何といっても一歩目が速かった。足だけではなく手もどんどん前に出て、腰の重い相手を一気に押し切った。今場所の王鵬は琴桜と豊昇龍から白星を奪うなど状態は良かったが、それを上回るスピードと馬力があった。
大関獲りの足場固めが期待された先場所は、9勝6敗と星を伸ばし切れなかった。押し相撲は好不調の波が大きく、少しでもリズムが狂うと受け身になって足が出てこなくなる時がある。逆に良い時は無意識のうちに体が反応する。
大栄翔も3日目、4日目、5日目と取組を重ねるごとに相撲内容が良くなってきた。手と足が伸びている時の大栄翔は強い。横綱、大関でもその勢いを止めるのが難しくなる。賜杯を抱いた経験を持つ実力者だけにこのまま乗っていったら怖い存在になる。(元大関・栃東)