オリオールズ菅野智之、渾身の103球…敗北に抵抗したオールドルーキー
2025年5月16日(金)6時37分 スポーツ報知
◆米大リーグ オリオールズ0—4ツインズ(15日、米メリーランド州ボルティモア=オリオールパーク)
オリオールズの菅野智之投手は14日(日本時間15日)、本拠地でのツインズ戦に先発。0—0で迎えた3回に、2者連続被弾で3点を献上するなど7回1/3を投げて、6安打4失点で3敗目(4勝)を喫した。菅野は6回を終えて3失点と、暫定的に今季5度目のクオリティースタートを達成したにも関わらず、7回もマウンドに上がり、1死二塁からルイスに左前適時打を浴び、4点目を奪われた。味方打線は2併殺など拙攻で三塁も踏めず、今季6度目の完封負け。渡米後最多103球を投げた菅野を援護できず、今季同カードは0勝6敗で今季3度目のスイープを喫した。菅野は3奪三振1四球で防御率は3・08となった。
菅野の奮闘を認める本拠地のファンの拍手が、せめてもの救いだった。渡米後最多103球の粘投は、報われなかった。
「やっぱり先制点をあげたくないという気持ちが強くて…。スプリットを見逃されていた中で、どうすれば振ってくれるかなと考えて、それを体現できたのは大きかった。中盤以降、スプリットをゾーン内に乗せて良くなった。ただ、こういうチームが連敗している時に求められるピッチングは、きょうみたいなものじゃないと思う」
前日のダブルヘッダーに連敗し、試合運びが慎重にならざるを得ない状況。2回は3者凡退も全員フルカウントに粘られ、3回は一死一塁からカージーに先制2ラン、続くバクストンに初球を2者連続本塁打を浴び、3失点した。だが、そこから、思考し、スプリットの軌道を修正して立て直すのが、菅野の強み。6回終了時点で球数93球を投げ、暫定的に今季5度目で3試合連続となるクオリティースタートを達成した。だが、7回も続投。1死後、左翼線二塁打を放ったカストロが滑り込みで負傷し、4分間以上試合が中断したにも関わらず、ベンチは動かず。続くルイスへの初球、甘く入ったカットボールを左前適時打され、手痛い4点目を献上した。
「間が空いて難しい部分はありましたけど、きのう中継ぎ投手が沢山投げていたので、チームの助けになれればと思って、あの回は投げきりたかった」と、自分へのハードルを上げた敗戦投手は、一言も言い訳しなかった。
「(6回終了後)投手コーチとの会話で、大丈夫ということだった。ダブルヘッダーの翌日、0—3の展開で中継ぎをつぎ込めなかった。7回は不運な形になってしまったが、トモは3回以外はミスなく、勝つチャンスを与えてくれた」と台所事情を説明したハイド監督。采配は後手後手になった。
打線も菅野を見殺しに。初回、3回に併殺でチャンスを潰すなど三塁すら踏めず。チームは0勝5敗の同カード今季最終戦でスイープされ、借金は今季最多「12」になった。
試合後、地元の米メディアからは、菅野に低迷奪回の鍵を問う質問が出た。「これに慣れてしまうのは良くない。皆、勝ちたいという気持ちを持っていると思うし、僕を含めてこんなチームじゃないと思っていると思う。いつかこういう状況が好転すると考えるのではなくて、『きょうやるんだ!』という気持ちを皆、持つことが大事だと僕は思います」。いつか、ではなく、きょう—。渾身の103球で敗北に抵抗したオールドルーキーは、今や孤高のエースの存在になっている。