阪神・前川に光 お待たせ5月初適時打 4戦ぶりスタメンで燃えた「思いきって打ちにいきました」
2025年5月17日(土)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神2—4広島(2025年5月16日 甲子園)
試合には敗れたが、阪神・前川の一打が何よりの希望となった。4試合ぶりのスタメンに名を連ねると、見せ場は2点を追う7回。5月初の適時打を放ち、聖地・甲子園を沸かせた。
「(佐藤)輝さんと大山さんが連打で流れをつくってくれた。自分も思いきって打ちにいきました」
先頭の4番・佐藤輝、続く大山の連打で築いた一、二塁の好機で迎えた3打席目だった。1ストライクから広島・森下の外角へ逃げていくチェンジアップに対応。巻き込むようにスイングを仕掛けた打球は一、二塁間を破る右前適時打となった。実に4月30日の中日戦以来34打席ぶりとなるタイムリー。塁上では満面の笑みとまではいかなくとも、安堵(あんど)感がにじみ出ていた。
「皆がつないでくれたので感謝したいなと思います。頭を整理していけた。良かったなと思います」
4月8日のヤクルト戦から14試合連続安打を放つなど、好調だったバットが5月に入ると一転、湿った。同月は試合前の時点で28打数2安打と不振。「考えれば、考えるほど分からなくなる」と自虐的になる日も続いていた。そんな中、考え方に新たな変化が生まれたのは、新潟でDeNA戦を終えた今月13日の夜だった。
「打てなくて2軍に落とされるのは自分の責任。その時に、いろいろ考えたらいいなと思うようにしました。だから、とりあえず納得いくまで練習をして、それで無理だったら仕方ない」
この日、試合前練習を終えると「まだまだ打ちますよ」と室内練習場へ向かった。試合前のルーティンにする20〜30分の仮眠時間を削ってでも、バットを振り込む背番号58の姿があった。
「(今後も)頑張れたらいいなと思います」。この夜の一本を決して無駄にはしない。必ず、完全復調への足がかりにしてみせる。(石崎 祥平)