【高校野球】鵡川が春8年ぶりの地区突破に王手…20キロ減量したエース右腕・住友脩杏が初完投
2025年5月18日(日)6時36分 スポーツ報知
苫小牧東戦で9回1失点完投の鵡川・住友(カメラ・島山 知房)
◇春季全道高校野球地区予選 ▽室蘭地区Bブロック3回戦 苫小牧東1−3鵡川(17日・とましん)
室蘭地区では、昨秋全道出場の鵡川が3—1で苫小牧東を下し、春は8年ぶりの地区突破に王手をかけた。エース右腕・住友脩杏(3年)が5安打無四球で公式戦初の9回完投勝利を挙げた。札幌地区では、3月のセンバツに出場した東海大札幌が酪農学園大とわの森三愛に0—1で敗れた。
鵡川の「プーさん」こと住友が“ダイエッ投”で9回97球を完投した。100球未満で完封するマダックス目前に犠飛で失点し「理想は0点で抑えたかった」と悔やみながらも、「(初戦後の)3日間でインコースの直球をすごく練習してきた。きょうも自信を持って放れたのが良かった」と振り返った。
持ち味の打たせて取る投球で凡打の山を築いた。1回の3者連続三振から始まり、4回まで1度も出塁を許さない完璧な投球。5回以降は走者を背負う投球が続いたが最速137キロを誇る直球にスライダーなどの変化球を織り交ぜ、緩急をつけた投球で最少失点。小池啓之監督(73)も「前半見てて今日は任せて大丈夫だなと。非常にリズムがいい。球の威力が相当あった」と称賛した。
体重103キロで高校に入学したが現在は81キロ。2年間の練習と食事管理で減量に成功した。「今でも1食で1キロ以上は食べられます」と言うように、中学までは大好物の白米を好きなだけ口にしていたが、現在は夜ご飯でも茶碗1杯分300グラムほどに制限。どんぶり茶碗で800グラム前後の白米を必死に口にかきこむ仲間を横目に、炭酸水を流し込み食事量を調整してきた。
全道大会に出場した昨秋からも6キロ減量し、体のキレはアップした。課題のスタミナ面は改善し、終盤の7回にこの日最速136キロをマーク。練習試合でもほぼ経験のなかった9回を投げ切り、「体力がついた。疲れずに完投できたことは成長している」とうなずく。
体格や日常生活での雰囲気から、チーム内でのあだ名は「プーさん」。だが、グラウンドでは表情が一変し、主将、エース、打線の中軸として大車輪の活躍を見せており、「てっぺんに登る気持ちでやっている」。“本家”「くまのプーさん」が絶対に見せることのない闘志むき出しのプレーで、チームをまずは17年以来の全道に導く。(島山 知房)
〇…北海道栄は浦河に9−2(7回コールド)。6番・田中健太三塁手(2年)が勝ち越し打を放った。5回、同点に追いつき、なおも2死二塁で打席に入った背番号「15」はチェンジアップを中前へはじき返し、決勝点を生み出した。1回戦の苫小牧工戦でも2安打3打点。2戦連続で勝負強さを発揮し、「2打席連続でフライを上げていて、3回目ミスったら代えるぞと言っていた。そのプレッシャーが良かったのかな」と糸瀬直輝監督(49)。5季ぶりの地区突破に向け、田中は「絶対に勝って全道にいく」と力を込めた。
〇…札幌地区ではセンバツ出場校の東海大札幌がAブロック3回戦でとわの森三愛に0−1。1安打完封負けを喫した。4回に先発の砂田左漸投手(2年)が3連打を浴びて先制点を奪われると、甲子園メンバーが名を連ねた打線は相手先発のサイド右腕・貞尾陽光(3年)の前に7回まで無安打。8回にようやく初安打を放ったが、後続を断たれた。センバツ枠で全道大会への出場は決まっているものの、2季連続甲子園出場を目指す夏はノーシードで戦うことになった。