杉原愛子が最長ブランク10年ぶり優勝!25歳大逆転「また花咲かせられてうれしい」体操NHK杯女子個人総合

2025年5月18日(日)6時0分 スポーツ報知

杉原愛子

◆体操 NHK杯 第2日(17日、東京体育館)

 女子個人総合で、杉原愛子(25)=TRyAS=が2015年以来、男女通じて最長ブランクとなる10年ぶり2度目の優勝を果たした。4種目合計54・665点でトップとなり、2位だった4月の全日本選手権の得点と合わせて162・163点をマーク。19年以来6年ぶりに代表入りした。全日本覇者・岸里奈が2位で、杉原とともに個人総合枠の代表に決定。3位の岡村真、4位の中村遥香は種目別枠で代表に選ばれた。

 優勝が決まった瞬間、杉原は驚きの表情を浮かべた。15歳の時以来、10年ぶりにつかんだ女王の座。「10年後に優勝するなんて想像していなかった。こういうふうにまた花を咲かせられてうれしい」。08年の大島杏子の6年ぶりを超える大会最長ブランクVで世界舞台に復帰。声を弾ませながら、満面の笑みを振りまいた。

 会場の視線を独り占めする逆転劇だった。首位の岸と0・933差でスタート。2種目を終えて1・600点差まで開いたが平均台で岸が落下し、差は0・2点に縮まった。得意にしている最後の床。自身の体操人生を描いた物語で、テーマはずばり「杉原愛子」だ。

 前半は1人で演技する不安、悔しさを床をたたくなどで表現。曲調が明るく変わると、大好きな体操を楽しむ姿で観客をあおり、会場から手拍子が湧いた。フィニッシュでD難度の後方屈身2回宙返りを決めると頭の上に王冠をポーズ。13・933点をたたき出し、逆転で女王に返り咲いた。

 体操人生を謳歌(おうか)している。22年に一時は第一線を退いたが、1年半後に復帰した。会社を立ち上げ、プロとして生活。自身も悩んでいた女子選手の不安を少しでもなくすため、足の付け根から太もも部分まで覆われた新しい形のレオタード「アイタード」を開発し、23年9月に試合で着用するなど話題になった。拠点は大阪だが、社長として全国を飛び回るため、練習会場を転々とするなどの苦労もあるが「楽しみを伝え、女性アスリートとしての大変さとかも発信して、普及できれば」との思いで取り組んでいる。

 28年ロサンゼルス五輪は頭にはない。「そこに向かうまでの過程の大事さ、苦しさを知っている。簡単には言えません。世界選手権で日本代表としての責任感を持って頑張りたい」。25歳の女王は、信じた道をひた走る。(松末 守司)

 ◆NHK杯の最長ブランクV 女子は大島杏子が02年に初優勝し、08年に返り咲いた6年ぶりが最長だった。男子でも山脇恭二(80年→86年)、米田功(98年→04年)の6年ぶりが最長で、杉原の10年ぶりはそれを超える。

 ◆杉原 愛子(すぎはら・あいこ)1999年9月19日、東大阪市生まれ。25歳。体操経験者の両親、姉の影響で4歳から競技を始める。東京・藤村女高—武庫川女大。15歳の2015年にNHK杯初優勝。同年アジア選手権個人総合で金メダル。団体総合で16年リオ五輪4位、21年東京五輪5位。22年に第一線を離れ、23年に復帰。昨夏のパリ五輪は補欠だった。22年に平均台の足持ち2回ターンを成功させ「スギハラ」と命名された。152・5センチ。

スポーツ報知

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