杉原愛子 最長ブランク10年ぶりのNHK杯優勝 世界選手権代表も28年ロス五輪は「簡単に言えない」
2025年5月18日(日)4時40分 スポーツニッポン
体操のNHK杯第2日は17日、東京体育館で世界選手権(10月、ジャカルタ)代表最終選考会を兼ねて女子個人総合が行われ、杉原愛子(25=TRyAS)が男女を通じて大会史上最長ブランクとなる10年ぶり2度目の優勝を果たした。4種目合計54・665点で、2位だった4月の全日本選手権の得点と合わせて162・163点をマークした。全日本覇者の岸里奈(17=戸田市SC)が0・033点差の2位となり、3位の岡村真(19=相好ク)、4位の中村遥香(17=なんばク)を含む4人が代表入り。4連覇が懸かっていた宮田笙子(20=順大)は8位だった。
杉原が自身の体操人生をストーリーにした床で逆転した。0・2点差で迎えた最終種目。序章は1人で演技をする不安、中盤は支えられていることに気がつく転機、そして体操の楽しさを取り戻すクライマックスを表現する。終末技の後方屈身2回宙返りを決め、最後に頭上につくったのが王冠ポーズ。実に10年ぶりの優勝を決めるにふさわしい演目だった。
「最後の王冠ポーズで女王に戻ると。10年後に優勝することは想像していなかった。ほんまに感謝の気持ちでいっぱい」
16年リオ、21年東京と五輪2大会連続出場。22年には一度、第一線から退いたが、体操の楽しさを再確認し、翌年に復帰した。「休む勇気も大切。10年ぶりの優勝にもつながっているのかな」。今は自ら設立したTRyASの社長業とプロ体操選手を兼務。この日も着用したスパッツ型レオタード「アイタード」をプロデュースし自ら営業活動を行うなど、体操界に新たな風を吹き込む存在だ。
1年前にはパリ五輪代表を逃し、涙を流した。28年ロサンゼルス五輪の時には28歳になる。「そこに向かう大変さを知っているから簡単に言えない」と率直な思いを明かした。まずは6年ぶりの世界選手権に視線を向け、「大好きな体操を楽しみたい」。そこでも新たなストーリーを紡ぐつもりだ。
○…7位スタートの宮田は、8位で世界選手権代表を逃した。両膝を痛めていたが、床の前に左膝をさらに痛め「棄権もよぎった」という。「不安があったけど、最後までやり切れた」と床、跳馬を演技しきった。パリ五輪辞退から復帰後は本調子に戻っていない。髪を青く染めて臨んだ今大会で「もう一度、上に行きたいし、はい上がる強さも見せたい」と思いを強くした。