トラックヘッドの欧州選手権『ETRC』、2019年シーズンには16台がエントリー

2019年5月20日(月)11時50分 AUTOSPORT web

 世界の物流事業従事者やその業界団体を中心に、絶大な人気を誇るFIA欧州格式選手権、ETCRヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップの2019年エントリーリストが発表され、全8戦32レースに挑む16名、4マニュファクチャラーのトレーラーヘッドたちが明らかになった。


 そのリストの先頭に位置するのは、2018年シリーズチャンピオンであり、5度のタイトル獲得経験を持つFIA ETRCの“レジェンド”、ヨッヘン・ハーンで、2019年も自らの名を冠したチームでタイトル防衛に向けイベコをドライブする。


 キャリアの大半を通じてマンのトレーラーヘッドで戦ってきたハーンは、2017年シーズンに自チームを立ち上げ、同時にマシンをイタリア製のイベコにスイッチ。2018年は年間12勝を挙げ、見事にチャンピオンシップを制覇、2019年は前人未到6度目のタイトル獲得に挑むことになる。


 そのハーン最大のライバルとして立ちはだかるのは、2017年王者であるチェコ共和国出身のアダム・ラッコで、2019年も引き続き同国のブギーラ・レーシングからのエントリー。


 使用するトラックも唯一のボンネットキャブ型となるフレートライナーは変わらずも、2019年シーズンに向けチームはシャシー、エンジンともにオールブランニューモデルに刷新。先日開催されたチェコ・モストでのオフシーズンテストでも好調さをみせており、過去数シーズン同様にハーンとの一騎打ちが数多く演じられそうだ。


 またその他にも、グリッドにはアントニオ・アルバセテ(マン)、ノルベルト・キス(メルセデス・ベンツ・トラックス)と、2名の元チャンピオンも参戦。


 2005〜2006年、そして2010年のタイトルホルダーであるベテランのアルバセテは、2018年シーズンに2014年以来となる4勝を記録してランキング3位に入っており、その好調さを今季にも持ち越したいと考えている。


 一方2014〜15年王者のキスは、スロバキアリングでの1勝のみでランキング5位に留まったものの、2015年以来不動のマシン、チーム体制で巻き返しを誓う。


 その元チャンピオンたちの間に割って入り、2018年シーズンのドライバーズランキング4位となりキャリアハイを記録したサッシャ・レンツ(マン)は、シリーズでただひとり全32レースでポイントを獲得する抜群の安定感を披露。2019年はその成績を上回ることを目指している。

サーキットでの観客動員数、ライブ中継のTV視聴者数、そしてSNSやストリーミングでのユーザー数でも毎年のように成長を記録しているFIA ETRCシリーズ
テストには2019年仕様のカラーリングをまとったIVECOを持ち込んだ王者ヨッヘン・ハーン
テストの合間にリラックスした表情を見せるシリーズの紅一点、シュティフィ・ハルム


 レンツと同じく、シリーズを代表するドイツ人スタードライバーのシュティフィ・ハルム(イベコ)も、移籍初年度となった2018年に初めてドライブするイベコで2勝をマークするなど、その実力を遺憾なく発揮して見せた。


 シリーズオーガナイザーのETRA(ヨーロピアン・トラック・レーシング・アソシエーション)からも「現在、FIAチャンピオンシップに参戦するなかで、おそらくもっとも成功した女性レーシングドライバー」と評されているハルムは、その実力どおり多くのファンを獲得しており、2018年ポイントテーブル6位以上の成績を目指すと宣言した。


 そのハルムが2017年まで所属したチームの代表であり、彼女の移籍と同時に現役ドライバーとして復帰したレネ・ラインアートも、引き続き自らのチームでエントリー。ただし昨季までのMANではなく、タイトル・ウイニング・トラックとなった元ヨッヘン・ハーン・レーシングの2018年型IVECOにスイッチしてシリーズを戦うことを決めている。


 そしてレギュラーエントリー勢で唯一のルーキードライバーには、20歳のドイツ人ファビオ・コティニョーラがキスのチームメイトとしてチーム・タンクプール24レーシングから参戦。アウディスポーツR8 LMSカップやルノー・クリオカップ・ジャーマニーを経て、史上最年少でのETRC参戦ドライバーとなった。


 シリーズを統括するETRAディレクターのロルフ・ウェルナーは「2019年のエキサイティングなエントリーリストを発表できてうれしく思うし、冬の間のチームとドライバーたちのパッケージ開発とその献身に感謝したい」とコメントした。


「FIA ETRCにとっては、ファンにとっても業界パートナーにとっても、エキサイティングで魅力的なレースの週末を提供するという精神が、より試されるシーズンになる。今季はレギュラーエントリーに加え、週末ごとにワイルドカード参戦枠を導入してグリッドの台数を増加させ、より多くのアクションを提供したいと思っている」


 2019年のFIA ETRCシーズンは、5月25〜26日にイタリアのワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ・ミサノで幕を明ける。

伝統のボンネットキャブ型で戦うフレートライナーは、2019年に向け新型を投入
3度のタイトル獲得経験を持つアントニオ・アルバセテ。2018年はランク3位を記録した
2020年の創設を目指すエントリーシリーズの”LT4カップ”に向け、IVECO製のプロトタイプも走り始めている


2019FIA ETRCヨーロピアン・トラック・レーシング選手権 エントリーリスト










































































































No.マニュファクチャラードライバー国籍
1イベコヨッヘン・ハーンドイツ
7マンジェイミー・アンダーソンイギリス
11イベコアンドレ・クルシムドイツ
14マンホセ・ロドリゲスポルトガル
19メルセデスベンツドミニク・オルシーニフランス
22フレートライナーオリバー・ジェーンズイギリス
23マンアントニオ・アルバセテスペイン
30マンサッシャ・レンツドイツ
37マンテリー・ギブソンイギリス
38マンエドゥアルド・ロドリゲスポルトガル
44イベコステファニー”シュティフィ”ハルムドイツ
55フレートライナーアダム・ラッコチェコ
64マンルイス・レクエンコスペイン
77イベコレネ・ラインアートドイツ
TBAメルセデスベンツファビオ・コティニョーラドイツ
TBAメルセデスベンツノルベルト・キスハンガリー


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