【オークス】2冠へ桜花賞馬が順調 未知数の芝2400メートルも森一誠調教師「スピードと総合力で通用する」
2025年5月20日(火)5時55分 スポーツ報知
牝馬2冠を目指すエンブロイダリー(カメラ・荒牧 徹)
◆第86回オークス・G1(5月25日、東京競馬場・芝2400メートル)
牝馬クラシック2戦目の第86回オークス・G1は25日、東京・芝2400メートルを舞台に行われる。史上18頭目の桜花賞との2冠がかかるエンブロイダリーを管理する森一誠調教師(47)=美浦=は、開業2年目で新進気鋭のトレーナー。未経験の距離だが、「スピードと総合力で通用する」と分析した。
いざ2冠目へ。桜花賞でエンブロイダリーは直線で鋭く伸び、2歳女王のアルマヴェローチェの追撃を封じる圧巻の走り。開業2年目でG1初制覇を成し遂げた森一調教師は、満足そうに振り返る。
「心身ともにいい状態でしたね。馬込みで脚をためながら折り合い、成長を感じるレースでした。雨で馬場も良くないなか4コーナーをいい手応えで回ってきて、直線もいい脚を使って勝つことができました」
名門・堀厩舎で馬の細部への徹底的な観察を学んだ新進気鋭のトレーナー。実績ある1600メートルのNHKマイルCではなく、未知の距離のオークスへの挑戦を選んだ。
「選択肢はいくつかありましたが、最終的にはメリット、デメリットを判断して私の方から『オークスにしませんか』と提案させていただきました。桜花賞馬として(2冠目の)オークスへ向かいたい思いはありますから」
父アドマイヤマーズ、母の父クロフネはともにマイルのG1馬。2400メートルは高いハードルになるが、乗り越えるべく言葉に力を込める。
「ベストの舞台ではないですが、もともと3歳牝馬にこの時期の東京・芝2400メートルは過酷で、ここがベストの馬はほとんどいないと思います。そういう馬同士の戦いならスピードと総合力で通用すると思っていますし、そうできるように調整するのが仕事ですので」
15日の1週前追い切りは美浦・Wコースでラスト11秒2の鋭い伸び。状態に自信をのぞかせた。
「いい時計で、いい追い切りができました。息遣いもいいですし、ここまでは順調。桜花賞と比べても、いい意味で平行線だと思います」
先週のヴィクトリアマイルをアスコリピチェーノで制したルメールと再コンビ。嶋田功元騎手に並ぶ歴代最多タイの5勝目がかかる(※)名手は、当週の追い切りに騎乗予定で態勢は整いつつある。指揮官は真っすぐに前を見つめて意気込んだ。
「初めて見たときから、力のある馬だと思っていました。ここまで順調なのは何より。いい状態で出走させたいです」
23年のリバティアイランド以来18頭目の桜花賞&オークスの牝馬2冠へ、人事を尽くして天命を待つ。(角田 晨)
(※)ルメールはオークスでは17年ソウルスターリング、18年アーモンドアイ、22年スターズオンアース、24年チェルヴィニアの4勝。