能見篤史氏 成長感じる阪神・及川 リリースまでに「間」が取れていて相手はタイミング取りにくい
2025年5月29日(木)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神1—0DeNA(2025年5月28日 甲子園)
【能見篤史 視点】阪神は接戦の中で継投パターンが見事に決まり、1点差を死守し、門別に白星をつけることができた。週の頭から石井、及川、岩崎が連投となったが、特に今季の成長を感じさせるのが及川だ。
8回2死一、二塁とされても落ち着いた投球は変わらず、14球で無失点。22試合登板で3失点と存在感を増している。及川が変わったと感じるのは右足をついてからリリースまでの時間が長く持てて、しっかり「間」を取ることができている点だ。それが球持ちの良さ、相手のタイミングの取りにくさにつながっている。
球を長く持てているから「タイミングを合わされた」と感じたときには、わざとボール球にすることも今はできているのではないかと思う。私の現役時代もローテーションに入るようになって、この「間」を意識できた。現状は桐敷、ゲラが2軍で再調整となっている阪神のブルペンだが、岩崎を中心にレベルの高いメンバーがそろっているから、若手も自然と引き上げられる。そしてチームとしても戦い方が安定する流れになっている。
甲子園初先発の門別も5回8安打とピンチを背負いながらもよく粘り、得点を許さなかった。2回2死三塁ではベンチの指示もあったのかもしれないが、山本との勝負を避けた。前半だから、ここは攻める姿勢がほしかった。全体的には投球のテンポをもう少し上げて、打者に傾向と対策を考える時間を与えない工夫もあればと感じた。まだまだレベルアップができる投手だと期待している。 (スポニチ本紙評論家)