能見篤史氏 阪神・前川が打席で見せた“状態が悪いしぐさ” それは投手を優位にさせてしまうだけ
2025年5月22日(木)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神4—5巨人(2025年5月21日 甲子園)
【能見篤史 視点】阪神は雨の中、最後まで諦めない試合運びをして、最後は1点差にまで詰め寄った。4回に4点を失い、巨人の流れになるかと思われた試合も、コツコツと粘り強く得点を重ねた。簡単に巨人に勝たせず、相手にしっかり疲労感を与えることはできたと思う。
その中で、戦いに加わろうとしながら、加わり切れなかった前川の打席が気になった。4回1死一、三塁では投ゴロ。6回2死一塁では空振り三振。攻撃の流れが6番で途切れた。前川がつなげていたら、試合の結果はまた違っていたかもしれない。
特に6回の打席は初球の甘いスライダーを見逃すと、2球目は外角のボールになるスライダーを空振り。追い込まれてから、4球目のワンバウンドのスライダーを空振りして三振。もっとシンプルに打つことができた打者だったと思っていたが、考えすぎている印象が残った。
野球とはうまくいかないことの方が多いスポーツだ。3割打者でも7割が凡退している計算だ。前川の技術的な問題は別にして、悪いときでも、悪いなりにできることがあると思ってほしい。首を傾げたり、下を向いたり、状態が悪いということを相手に見せてはいけない。打席で相手に弱みを見せる必要はない。投手の立場からすると、そういうしぐさが見えると、優位に勝負を進めることができるのだ。悩むのは練習のときだけでいい。
来日初登板のネルソンは足元が悪い中で2死から連続四球を与えたが、0点で抑えたことは次につながる。多彩な変化球だけでなく、真っすぐにも力がある。腕も振れているので、今後も上がってくると期待したい。3番手の工藤はもうワンランク上がるために、ただサイン通りに投げるだけでなく、サインの狙いを理解し、自分で「こう投げるんだ」という意思を出す投球を習慣づけてほしい。 (スポニチ本紙評論家)