【畑野理之の談々畑】阪神・佐藤輝が甲子園の右翼で経験する背中に突き刺さるプレッシャー

2025年5月30日(金)7時0分 スポーツニッポン

 ◇セ・リーグ 阪神1-5DeNA(2025年5月29日 甲子園)

 今も賛否両論あるんだろうなあと気になっている。阪神・佐藤輝明が右翼を守っていることについてだ。ルーキーイヤーだった21年も“右翼だ”“いや三塁だ”とビールをおいしくする絶好の、つまみ話だったからだ。

 当時、右翼を推していた代表的な意見は、“打撃に専念するんやったら外野手の方がええやないか”というもの。一方で三塁派は、将来はミスタータイガースになる選手なんだから、掛布雅之のように「4番・三塁」がふさわしいというもの。あちこちで議論になっているのをよく聞いた。

 サードとライトのどちらが適任なのかは、正直、わからない。どちらも一理あると思ったけれど、面白いことを言うなあと納得したのが、阪神OB関本賢太郎氏(本紙評論家)が当時、話していた意見。「右翼を守ったら、甲子園の熱狂的なライトスタンドに近いんだから、みんな喜ぶんちゃいますか。スーパースターになったら、そこが“ホットコーナー”になるはず」。このユーモアある関本案を、個人的には支持していた。

 佐藤輝は入団して2年間は主に右翼が定位置で1年目の21年は102試合に就いた。三塁では13試合。2年目の22年は右翼が115試合で、三塁が73試合で、ちなみに二塁も1度だけ守っている(試合途中からも含む)。

 当時の矢野燿大監督は右翼で起用した。まだ森下翔太が入団する前だったし、岡田彰布前監督はその森下を右翼で使うことができたから佐藤輝を三塁に回した。藤川球児監督はラモン・ヘルナンデスとの3人のパズルをハメ合わせて、今、こうなっている。選手の構成は年々変わるのだから、その時々の指揮官がベストな布陣を考えればいいし、それが正解なのだろう。

 亀山努(現つとむ)、桧山進次郎、福留孝介、森下翔太…。歴代の右翼手が甲子園で経験してきたのが、背中に突き刺さるプレッシャーだという。打って守りに就く時はいいが、チャンスで凡退した後は多くのヤジが飛んでくる。中堅を守っていた赤星憲広氏は「ふと横を見たら、ライトの選手の守備位置がだんだん前になってくるんですよ」と鉄板ネタとして話す。佐藤輝も今、耳に入ってくる、いろんな声とも戦っているのだと思う。

スポーツニッポン

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