グラブの神様・江頭重利さん死去 92歳 辻発彦氏、松井稼頭央氏ら名手の相棒手掛けた

2025年5月30日(金)5時30分 スポーツニッポン

 グラブの神様が天国へ旅立った。久保田運動具店「久保田スラッガー」の顧問で元福岡支店長の江頭重利(えがしら・しげとし)さんが23日に死去した。29日に同社が発表した。佐賀県出身。92歳だった。故人、遺族の意向で既に家族葬を終え、弔問などは辞退。後日、お別れの会を開く。

 52年に佐賀商を卒業して同社に入社。西鉄(現西武)、阪神、広島、中日、南海(現ソフトバンク)をサポートし、68年に福岡支店長に就任した後もゴールデングラブ賞8度の辻発彦、同7度の中村紀洋、同4度の松井稼頭央ら数多くの名選手のグラブを手掛けた。

 選手の要望に応えるために編み出したのが「湯もみ型付け」という画期的な技法だ。グラブを湯につけて、もみほぐし、木づちで叩いて型付けすることで革が柔らかくなり、素手のような感覚になったという。12年には厚生労働省による「現代の名工」に選ばれ「100歳まで頑張ります」と意気軒高だった。13年には黄綬褒章を受章した。

 同社の久保田勝行社長は「長年にわたって弊社の発展のために尽力され、その業績は計り知れません。故人が生前に築き上げたものを大切にし、その遺志を受け継いでまいります」とコメントした。

 ▼辻発彦氏(本紙評論家) プロ2年目ぐらいからお世話になり、毎年佐賀で自主トレやるときは、いくつかグラブを持ってきてくれた。要望も聞いてくれて、小指の付け根をきつく縛ることでグラブの間口を広げ、捕球面を広く使える“辻とじ”という手法で仕立ててくれた。辻発彦を支えていただいた最高のプロ職人。ご冥福をお祈りいたします。

 ▼松井稼頭央氏 西武の1年目からスラッガーのグラブを使わせていただいていた。わがままを聞いて、最高のグラブをいつも準備してくださったし、グラブのおかげでゴールデングラブも頂けたと思う。体の一部のようなもので、今でも家に大切に保管しています。スラッガーのグラブに出合えて本当に幸せでした。

スポーツニッポン

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