スピードスターの大不振。パワーは今シーズン勝利を挙げることができるのか?

7月21日(日)1時25分 AUTOSPORT web

 2014年のインディカーチャンピオン、ウィル・パワーが今シーズンは苦しんでいる。2019年シーズンはもう11戦が行われたが、彼はいまだ未勝利で、このまま優勝できずにシーズンを終えそうな気配さえ漂っている。


 こんな事態になった理由は、今年のパワーが波に乗り損ねたところにある。開幕戦でいきなりポールポジション獲得。しかし、作戦ミスで勝利のチャンスを失った。


 この時は3位フィニッシュできたので、まだガックリし過ぎることもなかったパワーだったが、第2戦ではトップを悠々と走っていたのに、ギヤボックスのトラブルでリタイア。結果は最下位。こうなると“2戦ともトップを走っていたのに!”、“勝てるレースだったのに”という思いが強くなる。


 パワーというドライバーは、手がつけられないほど速い時もあるが、実は驚くほど脆い面もある。見事なスタートダッシュを決められたはずだったのに、それが実現しなかたったことで精神面の安定が失われ、歯車が狂い始めた。


 アラバマでの第3戦は予選でファイナルに進めず、7番手からレースを戦い、11位という地味な結果に終わった。ロングビーチも予選は3番手だったが、決勝は7位。ここでもヤル気を取り戻すことに繋がる結果は得られなかった。


 雨になったインディカーGPではもうひとりのチームメイト、シモン・パジェノーが優勝した。新エアロとなったマシンで昨年まったくパフォーマンスの奮わなかった男が優勝。


 それに対して、自分はずっと良い走りをして来ているというのに、5戦を終えても未勝利。パワーが実力を発揮しにくい状況が更に固められていった。


 次はインディ500。昨年、このビッグイベントで優勝している彼のモチベーションは、ポールポジションを獲得し、2連覇を成し遂げることにあった。ところが、ポールはパジェノーが獲得。レースも5位に終わり、パジェノーが優勝を飾った。


 ここでパワーの2019年シーズンは終わってしまったかのようだ。

チームメイトのインディ500ポール獲得を祝うウィル・パワー
チームメイトのインディ500ポール獲得を祝うウィル・パワー


 デトロイトでのダブルヘッダーでは、予選結果が12番手と11番手という彼らしくない苦戦ぶりとなり、2レース目で3位フィニッシュして表彰台に上ったものの、ニューガーデンは2勝目をマークしてランキングトップ。パワーは勝つこと以外でもはや喜ぶことはできない身になっていた。


 勝利に対して貪欲で、最速であることに強くこだわり、常に目をギラつかせているドライバーだったパワーだが、今では近寄り難い雰囲気も感じられなくなっている。


 チームメイトでなかったら口もきかない、キャラクターのまったく異なるパジェノーがインディ500でポール・トゥ・ウインを飾り、チャンピオン争いへと食い込んでいっている。


 以前のパワーなら、パジェノーやニューガーデンといった後輩チームメイトを逆転してタイトルを手にしてやる! と闘志を燃やしたはずだが、今年の彼には、そうした意気込み、気配は感じられない。


 ロードアメリカで予選3番手から2位でフィニッシュ。一番の薬になるはずの優勝は、またしても手に入れられず。アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が、強かった時代のパワーのような圧倒的な走りでシーズン2勝目を挙げた。


 またしても勝利を逃したパワーは、更に大きな負のスパイラルに飲み込まれてしまったかのようで、第11戦トロントの予選ではQ1での敗退を喫した。これは彼にとって2015年のロングビーチ戦以来。


 あの時はアタック中に他車がクラッシュし、フライングラップをキッチリ記録できていなかったために18番手に甘んじたが、今回は普通に戦って15番手だった。その予選でパジェノーはポールを勝ち取り、ニューガーデンもファイナルを戦って予選4番手となった。


 そんな状況だから、レースでのパワーは1周目にグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)に無理なアタックを仕掛けて接触。最後尾まで後退。そこからトップ10フィニッシュが可能なところまで挽回をしていながら、最終ラップ手前で単独クラッシュと散々な結果となった。

トロントでは、トラトロントでは、トラブルなしでのQ1敗退とスピードスターの面影が消えてしまったウィル・パワーブルなしでのQ1敗退に周囲がざわついたウィル・パワー
トロントでは、トラブルなしでのQ1敗退とスピードスターの面影が消えてしまったウィル・パワー


“インディ500ではポールポジションも獲れなかったし、勝つこともできなかった”、“チャンピオンになるのも、もう難しそうだ……”となったパワーは、モチベーションを失って、レースにフォーカスできなくなっているようにみえてしまう。


 ニューガーデンかパジェノー、どちらかのチームメイトが今年のチャンピオンいなる可能性は大きい。


 チームペンスキーのドライバー3人は、今のところ皆、タイトル獲得回数は1回。ひとりが2回目で一歩リードすることになる。

2007年以来、毎年1勝以上は挙げているパワー。残りのレースでの活躍はいかに?
2007年以来、毎年1勝以上は挙げているパワー。残りのレースでの活躍はいかに?


 パワーは38歳。パジェノーは35歳。ニューガーデンは28歳。パワーはチームメイト3人の中で年齢が最も上だ。


 チーム在籍年数もパワーは11年目と最も長い(パジェノーは5年目。ニューガーデンは3年目)。


 ランキングはまだ5位で踏ん張れているのだし、パワーは二度目のタイトルはまだ諦めるべきではない。現実的に言って、逆転タイトル奪取はかなり難しいだろうが、シーズン1勝を全力で目指し、それを達成したら2勝目を……という戦いを続けていかないと、自らインディカーでのキャリアを短くしてしまうことだろう。


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