Astemo NSX-GTバゲット、予選・決勝とキレのある走りで入賞を果たすも「難しい週末だった」と吐露

　2021年のスーパーGT第3戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE』。Astemo NSX-GTは52kgと燃料リストリクター制限付きのサクセスウエイトを背負いながらも7位入賞を果たしたが、ベルトラン・バゲットは難しい週末だったと語った。

　第2戦富士で優勝を飾り、ポイントランキングでも上位につけていた17号車は、早い段階からサクセスウエイトが50kgを超えて、燃料リストリクターの制限が入っていた。

　そんななかで迎えた第3戦鈴鹿では、燃料リストリクター制限がかかっているマシンが続々とQ1で脱落する中、塚越広大が渾身のアタックを見せて7番手通過を果たすと、Q2ではバゲットが1分46秒155を叩き出し6番グリッドを手にした。これにはホンダの佐伯昌浩ラージプロジェクトリーダーも「チームがよく頑張った」と高く評価していた。

「今回はサクセスウエイトに燃料リストリクターの制限も入っているから、トップ争いをするのは難しいだろうなと思っていたけど、それでも予選では良いラップを刻むことができた」とバゲット。しかし、決勝はこの燃料リストリクター制限が大きな足かせとなって自分たちから攻めていくレースができなかったという。

「決勝は燃料リストリクター制限の影響がかなり出てしまい、バトルのときは不利な状況にだった。パワーが出ないからストレートスピードも周りと比べて遅い。GT300クラスのトラフィックで少しでもミスをすればポジションを簡単に落としてしまう可能性が大きくあった」

「あと、今回の反省点は僕がオープニングラップで3つもポジションを落としてしまったことだ。シケインで3号車CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rに先行され、そのまま12号車カルソニック IMPUL GT-R、38号車ZENT GR Supraにも抜かれてしまった。僕も広大も燃料リストリクター制限でパワーが不足してしたため、ライバルたちと戦うのは難しい状況だった」

　今回は全体的にブリヂストンタイヤ勢が上位に食い込めないレース展開となったが、バゲットによるとAstemo NSX-GTとしてはタイヤやマシンセットアップの面で大きな問題はなかったとのこと。それ以上に燃料リストリクター制限に苦しめられたことを繰り返し強調していた。

「クルマとタイヤのフィーリングはすごく良くて、ブレーキングや中速コーナーでは周りよりパフォーマンスがあった。だけど、直線スピードが不足している分、相手に仕掛けにいけなかった。それが難しかった」

　それでも後半スティントを担当した塚越とともに粘り強い走りをみせ、Astemo NSX-GTは7位でフィニッシュしポイントを獲得。ドライバーズランキング5番手で後半戦を迎える。

「ランキングトップとは10ポイント差だから、まだチャンスは十分にある。ここからスポーツランドSUGO、オートポリスと続くけど、ふたつとも僕たちが過去にポールポジション獲得しているコースで、得意だと思っているから楽しみだ。まだまだシーズンは長いし、チャンピオン争いは間違いなく最終戦まで続くと思うから、それぞれの状況下でベストを尽くしていきたい。ただ、今回は僕たちにとって難しいレースだった」

　そんなバゲットだが、7月の第4戦もてぎが終了してすぐに、母国のベルギーに一時帰国し、スパ24時間レースに参戦したほか、束の間ではあるが家族団らんの時間も過ごしてきたという。

「僕は日本の在留カードも取得していて、海外との行き来に関しては、基本的に問題ない。ただ日本に再入国した時に14日間の待機ルールを守らなければいけないから、その期間がレースウィークに引っかからないように注意しなければいけない。それ以外は何の問題もない」

「今は自由に母国に帰って家族に会うことができないから、僕にとっては非常にタフな日々を過ごしている。特に息子は3歳とまだ小さいからね。彼の顔をいつも見られないのは辛い。今回の一時帰国で家族の元気な姿が見られて、本当に良かった」

　昨年はシーズン最終戦まで日本に滞在していたバゲットだが、今年はこうして家族のもとに帰る機会を得られた。それでも不自由な状態には変わらず「早く、以前のように自由に行き来できるようになってほしいし、満員のグランドスタンドの中でレースがしたい」と、本音を漏らしていた。

　いずれにしても、家族との再会で少なからずはリフレッシュできた様子のバゲット。これが後半戦の快進撃への原動力になることは間違いなさそうだ。