「隔年投手」返上へ、今永昇太が海を渡るために必要な2年連続2桁勝利

2023年9月11日(月)13時9分 ココカラネクスト

WBCでも好投を見せた今永の実力はMLBスカウトも認めるところ。今季はなんとか二桁勝利に乗せたいところだ(C)Getty Images

 MLB公式サイトが7日、DeNA・今永昇太が今オフにポスティングシステムでメジャー挑戦すると報じた。すでに過去2年の契約交渉では、球団と将来的なメジャー挑戦について協議を重ねていた。半ば規定路線ではあったが、国内屈指の剛球を武器とする左腕が海を渡る時が近づいてきている。

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 今永は今季ここまで19試合に投げて、7勝3敗。防御率2・81は決して悪い数字ではないが、実はセ・リーグの規定投球回に到達している12投手の中では10位と、ワースト3位だ。

 152奪三振はリーグ断トツ。2位の阪神・村上頌樹の131奪三振に大差をつけている。特筆すべきは奪三振率で、こちらもリーグ断トツの10・69。2位の中日・高橋宏斗の9・14を引き離す。

 奪三振と四球の割合を示すK/BBも7・24と悪くない。こちらは村上頌樹の8・73、DeNA・東克樹の7・36に次ぐリーグ3位だが、今永の下のリーグ4位のDeNA・バウアーは4・19で、上位3投手がいかに突出しているのかがよく分かる。なおパ・リーグトップのオリックス・山本由伸でも6・04止まりだ(記録はすべて9月10日現在)。

 今永の最大の武器は空振りを奪える真っ直ぐだ。好調時には150キロ台半ばまで球速を伸ばす直球は、誰の目にも伸びとキレが他とはひと味違うことが分かる。実際に3月のWBCでは直球の回転数はほとんどが毎分2500回転を超え、中には2600回転を超えるものもあった。これはメジャーリーグの中でもトップクラスだ。

 一方で長く指摘されているのが「隔年投手」とも言われる燃え尽き型の投球スタイルだ。直球が最大の武器であり、渾身のストレートを投げ込むことが信条。それゆえに投球後のダメージも大きく、故障に苦しみ続けてきたイメージが強い。

 駒大時代にも3年時に無双の輝きを放ち「大学球界ナンバーワン左腕」の評価を得ながらも、4年時は左肩痛に苦しんだ。DeNAに1位指名されて入団したが、プロ球団の評価はチームによって大きく分かれていた。素材はピカイチだが、1メートル78センチと身長もさほど大きくないこともあり、プロで長く活躍できるタフネスさ、肩の状態などには疑問符が付けられていた。

 実際にDeNA入団後も、3年目の2018年は左肩痛を発症し、4勝11敗と大きく負け越した。翌2019年には13勝7敗と復活をみせ、11月のプレミア12でも侍ジャパンの世界一に大きく貢献した。だが、翌2020年には再び左肩痛で5勝止まり。オフには左肩のクリーニング手術を受けることとなった。

 これまでNPB通算64勝を挙げてきたが、実は2年連続で2桁勝利を挙げたことがない。プロ入り前に懸念されたことが、少なからずキャリアの数字にも出てしまっている。メジャー移籍となれば、最低でも3年以上の複数年契約が前提条件だろう。その間に長期離脱することなく、高いパフォーマンスを発揮し続けられるという信頼を得なければ、大型契約は望めない。

 昨季は11勝4敗、防御率2・26というハイパフォーマンスで、チームを2位躍進に導いた。3月のWBCで侍ジャパンの世界一に貢献した今季は、その疲労を考慮されて初登板が4月21日と出遅れた影響もあり、前記したようにここまで7勝となっている。自身初の2年連続2桁勝利。ファンにも支持されて、大手を振って海を渡るためには、残り3勝のそこは必要最低限のラインとなるだろう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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