ユーロフォーミュラ・オープン第8大会:名取鉄平が初優勝。佐藤万璃音が2019年王座獲得

2019年9月25日(水)14時45分 AUTOSPORT web

 スペイン・バルセロナで2019年9月19〜22日、ユーロフォーミュラ・オープン(EFO)の第8大会が6チーム/16台の参加により実施された。佐藤万璃音(モトパーク)は10位と5位に終わるも6連勝を含むこれまでの通算8勝が効き、3レースを残してドライバーズチャンピオンを獲得した。


 ヨーロッパのジュニア・フォーミュラで日本人ドライバーが年間王座を獲得するは、2005年のフォーミュラ・ルノーでユーロ・カップとイタリアの2冠に輝いた小林可夢偉以来。旧F3規格のシリーズに絞れば、2001年のイギリスF3で年間王座を獲得した佐藤琢磨以来のことだ。


 同じくシリーズに参戦しているホンダ育成の名取鉄平(カーリン)は9位とEFOで初の優勝、ホンダ育成でレッドブル・ジュニアの角田裕毅(モトパーク)は11位と7位だった。


■第9大会はカーリン躍進、モトパーク低迷で勢力逆転


 佐藤はFIA-F2出場でEFOの第7大会を欠場、角田と名取は、FIA-F3出場でEFOの第6〜7大会を欠場したため、いずれもひさしぶりのクルマ/タイヤでのレースとなった。


 とはいえ、19日(木)に実施されたプライベートテストでは佐藤が総合首位、角田が同2位、名取が同8位とブランクを感じさせない走り出し。しかし、日本のドライバー3名の週末に限っては明暗が分かれた。


 予兆は20日(金)に表われていた。基本、前回大会や前々回大会から持ち越した中古タイヤが投入される練習走行。各チーム・各ドライバー、メニューの内容やタイヤの状態に差異があり、タイムや順位は通常であれば週末に向けてあまり参考にはならない。とはいえ、同じスピース・エンジンを使うものの、カーリン勢が上位から中位に名を連ねて、モトパーク勢が中位から下位に名を連ねる情勢に変化が表れていた。


 迎えた21日(土)の予選1回目、ピットレーン出口が開く直前に土砂降りとなり、セッションは始まらないまま中止の判断が下された。EFOの競技規則によるとこの場合、前日の練習走行の結果で決勝レース1のグリッドが決まる。日本勢の最上位は角田で9番グリッド、名取は11番グリド、佐藤は12番グリッド。

ウエットでの争いとなったユーロフォーミュラ・オープン第8大会レース1


 決勝レース1も雨。フォーメーションラップで角田がエンジンストール、最後尾のクルマにも追い抜かれた角田は本来、スターティンググリッド最後尾からスタートしなければならなかった。「チームに無線でどうすれば良いか? と尋ねたら、“確認する”という返事があった。でも、何の指示もなかったので9番グリッドについた」と角田。「無線の調子が悪かったよね」とチームメイトの佐藤が補足する。


 結局、角田にはドライビングスルーペナルティが科されて、最後尾から11位まで挽回するので精一杯だった。佐藤は鋭い出足を見せるも水煙に視界を遮られてレース序盤に順位を上げられず、終始にわたりペースも上がらず10位。


 名取はオーバーランで一時は最後尾へ落ちるも、徐々に順位を戻して9位となった。この決勝レース1ではモトパーク勢で唯一、リアム・ローソンが好調で今季3勝目を飾った。


■名取鉄平、レース2で初ポール、初優勝。「正直、こんなに簡単に勝てるの? と思った」


 22日(日)の予選2回目では、カーリン勢とモトパーク勢の優劣がはっきりと見て取れた。EFOで初のポールポジションを獲得した名取を筆頭に、トップ4がカーリン勢。モトパーク勢ではローソンの5番手を筆頭に、佐藤が6番手で角田が8番手という成績に留まった。


 同日の決勝レース2では、名取がポールトゥウインに加えて大差でのファステストラップも獲得した。「スタートが決まった。スタート直後はセクター1までにプッシュしてある程度のタイムギャップを作れたので、セクター2からはタイヤ・マネジメントに入った。後ろがまったく付いて来ないので、正直、こんなに簡単に勝てるの? と思った。4周目のファステストラップも意識して出したものではなかった。後ろを見ながら落ち着いて走れた」と笑顔で名取は語った。

名取鉄平(カーリン)はレース2でポールポジションからレースを支配した


パルクフェルメにマシンを止めたあと、喜びを爆発させた名取鉄平(カーリン)

 佐藤はスタートでローソンを抜いて5番手へ浮上、序盤は4番手のライバルと激しい競り合いを見せた。しかし、徐々に前に引き離されて後ろのチームメイトから追い立てられる展開となり5位だった。

最終戦を待たずして2019年のユーロフォーミュラ・オープン王者に輝いた佐藤万璃音(モトパーク)


「木曜日はタイムもしっかり出せていた。でも、日曜日は予選からカーリン勢に敵わなかった。リアムと裕毅と僕のタイム差はコンマ1秒以内で、クルマのポテンシャルは全員が引き出しきれたと考えている。決勝はリアタイヤが早めに終わり、オーバーステアに悩まされた。クルマは全体的にグリップが足りず安心感もなかった」と佐藤と首を傾げた。


 角田もスタートでひとつ順位を上げたとはいえ、目の前のローソンと佐藤を攻略する機会は得られず7位。「ドライビングでミスしたわけではなかったけど予選で振るわなかった。正直、原因は見えない。抜かれなかったけれどスタートではエンジンストールしかけた。レースでは自分の感覚ではおかしな場所で前に引き離される状況が続いていて、開幕大会からその点の改善が進まない。このままではストレートの多い最終大会のモンツァも難しいかもしれない」と厳しい表情で語った。


 なお、第9(最終)大会は10月10〜13日にイタリア・モンツァで開催される。


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