いよいよ最終盤!残留争いを制するのはどこだ【J2リーグ2023】

2023年10月6日(金)12時0分 FOOTBALL TRIBE

杉浦恭平(左)大山啓輔(中)遠藤康(右)写真:Getty Images

いよいよ最終盤へと突入した2023明治安田生命J2リーグ。白熱する優勝争いに加え、J1への自動昇格圏争い(2位以内)、プレーオフ圏争い(3位〜6位)と、上位の熾烈な順位争いに注目が集まる中、それ以上に意地とプライドをかけて行われているのが残留争いだ。


下位2チームがJ3へ降格となるレギュレーションにおいて、現状は21位のツエーゲン金沢と22位の大宮アルディージャが自動降格圏に入ってしまっている。残留圏ぎりぎりの20位レノファ山口と金沢の勝ち点差は9と離れており、残り試合数を考えると前述の2チームがそのまま降格してしまう可能性が高い。しかし、残りの対戦カードや消化試合数を考慮すると20位より上のクラブもまだまだ油断できない状況だ。


ここでは、10月6日現在降格圏にいる2クラブを中心にJ2残留争いの現状を見ていこう。




大宮アルディージャ MF大山啓輔 写真:Getty Images

最下位ながら調子は上向き?


まず、現在最下位に身を置き、J3降格の可能性が最も高い大宮アルディージャ。シーズン序盤は白星と黒星を交互に並べながら勝ち点を積み上げることに成功していた。しかし、第9節のザスパクサツ群馬戦での敗戦を皮切りに、2度の連敗を含む15戦勝ち無しを味わう。7月に一度は持ち直したものの流れに乗り切れず、8月は1勝1分2敗。9月にも連敗があったことで、シーズン最終盤を前にJ3への降格がいよいよ現実味を帯びてきた。


大宮は今夏、チームの立て直しを図るべく積極的に補強に動いていた。FWシュヴィルツォクをはじめ、Jリーグで実績のある即戦力を獲得し、残留という目標を達成するには十分な戦力を整えたと言えよう。しかし、夏の移籍を経ても9月中旬までは成果がすぐに出ることはなかった。ところが、ここにきてわずかながら希望の光が見えている。9月24日の第36節では徳島ヴォルティスに1-0で勝利、30日の第37節では大分トリニータに1-0と連勝。特に大分はシーズンダブルとなる勝利で明らかに調子が上向きつつある。しかし、まだまだ残留への道のりは遠く、残留圏である20位レノファ山口との勝ち点差は9と離れている。さらに輪をかけて残留が厳しく見える要因となるのがここからの対戦カードだ。


残り5試合のうち今季白星を挙げた相手はゼロ。そのうち3つの黒星は3点以上の大量失点を喫したゲームとなっており、ネガティブなイメージを持つ対戦相手が多いことも懸念材料となるだろう。しかし、残留という目的を果たすためには、相手がどんなチームでも勝利以外の結果は許されない。とはいえ、今季の戦績やここまでの流れを見れば、残留圏までの道のりがかなり険しいことも事実。過去にはJ1も長く経験した実績のある大宮がJ3へ降格となってしまうのか。残り5試合、現状2連勝の流れをどこまで継続できるかがカギとなる。


ツエーゲン金沢 FW杉浦恭平 写真:Getty Images

直近8試合勝ち無しの苦しい21位


現在21位と降格圏にいるツエーゲン金沢。残留圏である20位山口との勝ち点差は9となっており、直近の戦績を見ても最も苦しい終盤戦を過ごしていると言える。勝てば浮上のきっかけとなり、残留争いを戦う相手にプレッシャーを与えられるはずであったザスパクサツ群馬との未消化試合(9月27日)は引き分け止まり。さらに10月1日の第37節では、残留圏であり1つ上の順位にいる山口に3-2と敗れたことで、一層自チームにかかるプレッシャーが高まりつつある。


残りの対戦カードを見ると、5戦中2戦が今季勝ち点を得ている対戦カード(第10節モンテディオ山形戦1-0、第20節ブラウブリッツ秋田戦0-0)。だが、同じ結果では残留圏までの勝ち点が足りず、トップハーフに位置するチームとのカードが多くを占めているため苦戦は必至だ。現在首位を走る町田ゼルビアはもちろん、山形をはじめ虎視眈々とプレーオフ圏を狙うクラブとの対戦が多いことも大きな懸念材料と言えよう。


唯一とも言える救いは、残り5戦中4戦をホームで戦えること。シーズンも終盤に入り、移動距離が少なく済むことは選手たちのコンディションにも影響するだけに、これが有利に働くことを期待したい。見方によっては、つい最近まで最下位候補筆頭であった大宮以上に残留が苦しく見える金沢。まずは次の第38節で対戦する秋田戦でホームの利を活かし、8月から続く未勝利期間に区切りをつけて上を向きたいところだ。




ベガルタ仙台 MF遠藤康 写真:Getty Images

まだまだ油断できない残留圏の5クラブ



  • 16位:ロアッソ熊本

  • 17位:ベガルタ仙台

  • 18位:いわきFC

  • 19位:栃木SC

  • 20位:レノファ山口


現状の降格圏2チーム(金沢、大宮)が圧倒的不利なことに変わりはないが、勝ち点10差以内の16位ロアッソ熊本から20位の山口までについても触れておきたい。まず、最も降格圏に近い山口は残り下位勢との対戦が3つ(大宮、仙台、熊本)と多く残っている。直接対決が多いだけに、敗れれば降格圏への転落危機でもあるが勝てば残留がより確実になりモチベーションアップにつながる。


また、17位につける仙台も同様だ。J1復帰を目指したシーズンに低迷してしまっていることは残念だが、残り5戦中3戦が下位勢との対戦だ(いわき、秋田、山口)。1試合ごとの結果に重みがある反面、勝てば自力で残留を引き寄せられるという利点もある。18位のいわきFCは、残り試合で上位チームから下位チームまでまんべんなく対戦を残しているが、現在2連勝中と好調。特に直近の第37節では首位を走る町田を下しており(3-2)、今後の上位対戦でも勝利を期待できることから、J2に上がった初年度に早くもJ3へ出戻るという事態は避けられる可能性が高い。


一方で、19位栃木SCの対戦カードは厳しいと言わざるを得ない。残る5戦すべてが現状のトップハーフに位置するチームとの対戦であり、いずれも自動昇格圏やプレーオフ圏入りの可能性を残す相手ばかり。残留を決定付けたい栃木とJ1昇格の可能性を残す対戦相手という構図が続くことは、栃木にとって必ずしもプラスに働くとは考えにくい。また、現状の順位表では16位につける熊本も危険度は高い。勝ち点43は仙台やいわきと同じだが、消化した試合が1つ多く必ずしも残留圏ぎりぎりの山口と比較して前に出ているとは言い難い。加えて次の第38節以降は、町田、清水エスパルスという上位との連戦が控えており、連敗すれば一気に順位が変わる可能性も高い。


いずれも直接対決の結果と下位2チームの動向次第という前提ではあるが、残りの対戦カード見ていくと降格圏の2チームが上がってきた場合、最も危険なのは栃木、さらに試合数の違いから熊本にも降格の可能性が大きく残っていると見ることができる。残り5試合となり、およそ1か月以内にはこの残留争いにも決着がつく。現在自動降格圏にいる2クラブが巻き返しを図れるのか、それとも残留圏にいるチームがこのまま持ちこたえるのか、1戦1戦の注目度はさらに増していくことだろう。

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