未勝利&得失点差「-22」で最下位…プレミア“史上最悪”の序盤戦を過ごすシェフィールド・ U

2023年11月1日(水)13時35分 サッカーキング

苦戦を強いられている今季のシェフィールド・U [写真]=Getty Images

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 今シーズンのプレミアリーグには“史上最悪”の序盤戦を過ごしているチームがいる。

 昇格組のシェフィールド・ユナイテッドは、現地時間10月28日に行われたプレミアリーグ第10節のアーセナル戦でも惨敗を喫し、プレミアリーグ史上最低のスタートを切ってしまった。これまで一度も勝てていないどころか、ここまで「1」ポイントしか稼げていない。開幕10試合で「勝ち点1」の「得失点差−22」というのは1992年に発足したプレミアリーグにおけるワースト記録となっている。

 シェフィールド・ユナイテッドは今後のリーグ戦で立て直すことができるのだろうか。今回はプレミアリーグの開幕10試合におけるワースト記録を紹介し、それらのチームがどのような形でシーズンを終えたのかを見てみよう。

[写真]=Getty Images

■5位:マンチェスター・シティ(1995−96)


 プレミアリーグにおいて開幕10試合の成績でワースト5位に入ったのは、今や“絶対王者”と呼ばれるチームである。30年ほど前のマンチェスター・シティは現在では考えられないほど苦しい時期を迎えていた。1992年に発足したプレミアリーグのオリジナルメンバーだった同クラブは、なかなか結果を出すことができず、サー・アレックス・ファーガソン監督のもとで黄金期を築く“宿敵”マンチェスター・ユナイテッドの陰に埋もれていた。

 1995−96シーズンには開幕戦でトッテナムと引き分けるものの、その後は全く勝てない日々を送ることに。とにかくゴールを奪うことができず、開幕10試合でわずかに3得点。エースのFWウーヴェ・レスラーが2得点と奮闘するも、一度も勝てないまま最初の10試合を0勝2分け8敗・勝ち点「2」、得失点差「−12」という成績で終えた。チームにはニッキー・サマビーやゲオルギ・キンクラーゼといったクラブの英雄がいたにもかかわらず、同シーズンは最終的18位で降格の憂き目に。そしてその2シーズン後には3部リーグまで落ちるのだった…。

■4位:サンダーランド(2016−17)


 2016−17シーズンのサンダーランドも苦しいシーズンを送ることになった。今振り返ると、チームの戦力は決して歴代ワーストにランクインするような顔ぶれではない。前線には、最前線には同シーズンのリーグ戦で15ゴールを叩き出す元イングランド代表FWジャーメイン・デフォーがおり、最後尾には今やイングランド代表の守護神を務めるGKジョーダン・ピックフォードが君臨。さらに元イタリア代表FWファビオ・ボリーニ、マンチェスター・ユナイテッドからローン加入した元ベルギー代表MFアドナン・ヤヌザイなどタレントは豊富だった。さらに最終ラインにはDFジョン・オシェイやDFジョリオン・レスコットといった経験豊富なベテランを揃えていた。

 何より、チームを率いたのはデイヴィッド・モイーズ監督(現:ウェストハム)なのだ。マンチェスター・ユナイテッドやレアル・ソシエダで結果を出せずシーズン途中で解任されたモイーズ監督は、名誉挽回を誓って2016年夏にサンダーランドの指揮官に就任するも、どうしても結果を残せなかった。開幕10試合での戦績は0勝2分け8敗・勝ち点「2」、得失点差「−13」。8敗のうち5敗が1点差と勝負弱さを露呈した。

 当時、話題になったのは元イングランド代表MFジャック・ロドウェル。若くして“スリーライオンズ”の一員となったロドウェルだが、2014年にサンダーランドに加入すると「勝てない原因」のレッテルを貼られることに。ロドウェルが加入して以降、サンダーランドは同選手を先発起用したリーグ戦では37試合(0勝17分け20敗)も未勝利が続いた。2017年2月のクリスタル・パレス戦に勝利するまで、実に2年半も勝てなかったのである。結局、チームは2016−17シーズンに最下位で降格。モイーズ監督もシーズン終了後に解任された。

■3位:ノリッジ(2021−22)


 サッカー界の最大の格差は、さらに広がりを見せているのかもしれない。世界で最もトップリーグと2部リーグの落差が激しいのはイングランドと言われている。年々、プレミアリーグは世界的な才能だけでなく優秀な指揮官を集めてレベルを上げており、過去6年間のチャンピオンズリーグ(CL)決勝に7チームもイングランド勢が残っているのだ。そのためプレミアリーグとチャンピオンシップ(2部リーグ)の格差はいつになく広がっている。それを物語るように、今回のランキングでワースト3に入ったチームは、ここ4年間の昇格組もしくは昇格2年目のチームなのだ。

 ワースト3位は2021−22シーズンのノリッジである。2021年にチャンピオンシップを制して昇格してきたノリッジは、ドイツ人のダニエル・ファルケ監督のもと、アメリカ代表FWジョシュ・サージェントを獲得したほか、チェルシーからスコットランド代表MFビリー・ギルモア、マンチェスター・ユナイテッドからイングランド人DFブランドン・ウィリアムズといった有望な若手をローン契約で連れてきた。だが彼らは、すぐに世界最高と呼ばれるリーグの洗礼を浴びることになる。

 開幕戦でリヴァプールに0−3で敗れると、第2戦はマンチェスターCに0−5で大敗。その後もレスターやアーセナルに敗れて開幕6連敗を喫した。さらに第9節にはチェルシーに0−7で敗れ、10節を終えた時点で0勝2分け8敗・勝ち点「2」、得失点差「−22」という散々な結果に。第11節にブレントフォードを2−1で倒してようやくシーズン初勝利を飾るも、試合後にファルケ監督は解任された。ディーン・スミス氏が後任を託されるも立て直すことはできず、チームは最下位で降格の憂き目に遭った。

■2位:シェフィールド・ユナイテッド(2020−21)


 今回のランキングでワースト1位と2位を独占したのがシェフィールド・ユナイテッドだ。何度もプレミアリーグに挑戦しながら、そのたびに定着できずに降格している同クラブは、プレミアリーグにおける開幕10試合のワースト記録を打ち立ててしまった。2019年にトップリーグに返り咲いたシェフィールド・ユナイテッドは、そのシーズンにプレミアリーグでのクラブ最高成績となる9位に入った。迎えた2020−21シーズン、前年の好成績で手応えを掴んだクリス・ワイルダー体制は、シーズンオフにイングランド代表GKアーロン・ラムズデール(現:アーセナル)や同国人FWリアン・ブリュースターといった国内の若い才能を集め、将来を見据えて新シーズンに臨んだ。しかし、残留と育成の両立は絵に描いた餅となってしまう。

 開幕10試合で0勝1分け9敗・勝ち点「1」、得失点差「−12」。プレミアリーグ史上初めて開幕10試合で「1」ポイントしか稼ぐことができず、その後も勝てない日々が続いた。第18節のニューカッスル戦でシーズン初勝利を収めるのだが、開幕17試合未勝利(0勝2分け15敗)というのはプレミアリーグにおける開幕からのワースト記録となっている。ワイルダー監督はシーズン途中の2021年3月に解任され、今もチームを率いているポール・ヘッキンボトム監督が後任を託されるも、このシーズンは最下位で降格した。

■1位:シェフィールド・ユナイテッド(2023−24)


 そしてワースト1位は冒頭で説明した通り、今シーズンのシェフィールド・ユナイテッドである。昨シーズンは2部で2位に入りトップリーグ復帰を果たした同クラブだが、今シーズンはここまで10試合で0勝1分け9敗・勝ち点「1」、得失点差「−22」と苦しい戦いが続いている。開幕3連敗のあと、第4節のエヴァートン戦で引き分けて初めての勝ち点を獲得したものの、第5節のトッテナム戦が転機となった。

 シェフィールド・ユナイテッドは73分にブラジル人MFグスタヴォ・ヘイメルのゴールで先制し1点のリードを守ったまま終盤を迎えるも、後半追加タイムに2ゴールを奪われて逆転負け。そして、まさかの敗戦を喫した同クラブは翌週のニューカッスル戦で大敗を喫することに。ホームでの0−8の敗戦は、リーグ戦で4988試合を戦ってきた134年のクラブ史において最大の敗戦となった。

 直近のアーセナル戦では日本代表DF冨安健洋に初ゴールを許すなど0−5の大敗。シェフィールド・ユナイテッドが放ったシュートはわずか2本だけで、ゴール期待値は「0.03」。これは2017−18シーズン以降のプレミアリーグで4番目に低い数値だという。プレミアリーグ史上最低の成績を更新してしまったシェフィールド・ユナイテッドだが、ヘッキンボトム監督にも言い分はある。今オフ、彼らはチームの主軸だったセネガル代表MFイリマン・エンディアイエをマルセイユに、ノルウェー代表MFサンデル・ベルゲをバーンリーに引き抜かれたのだ。指揮官は次のように説明している。

「我々は夏に決断を迫られた。それは短期的に見たパフォーマンスではなく、クラブの将来についてだ。そして我々は将来を選んだわけだが、一流の相手と毎週のように対戦するわけだから、目の前の戦力を優先すべきだったと後悔している」

 果たして“史上最悪”の序盤戦を過ごすチームは、このまま為す術もなく降格してしまうのか? シェフィールド・ユナイテッドの今後の戦いに注目したい。

(記事/Footmedia)

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