勝田範彦、TGR移籍&GRヤリス参戦初年度に9度目の戴冠「ここまで来られるとは思ってもいなかった」
2021年11月2日(火)12時22分 AUTOSPORT web

10月30〜31日、2021年JRC全日本ラリー選手権の実質的なシーズン最終戦となる第4戦『久万高原ラリー』が、愛媛県上浮穴郡久万高原町を中心に開催された。最高峰クラスJN-1に『トヨタGRヤリスGR4ラリー』を投入してシリーズに参戦しているTOYOTA GAZOO Racingは、勝田範彦/木村裕介組が今季4度目の優勝を飾り、JN-1クラスのタイトルを獲得。一方、チームメイトの眞貝知志/安藤裕一組はすべてのSSを走破したものの、メカニカルトラブルの影響でリタイアとなった。
TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、モータースポーツの厳しい環境の下で“人を鍛え、クルマを鍛える”ことを目的に、2015年からJRCに参戦。今シーズンはスバルで通算8回全日本タイトルを獲得した勝田をチームに迎えるとともに、GRヤリスをベースに開発した新車『トヨタGRヤリスGR4ラリー』を投入し、最上位カテゴリーへに挑戦している。
そんなTGRが迎えた今戦、久万高原ラリーは元々5月に開催される予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で10月に延期され、シーズン最終戦として実施されることになった。
第7戦ラリー・カムイから第9戦ラリー北海道、第10戦ラリーハイランドマスターズと3連勝でランキング首位に躍り出た状態で最終戦に臨むことになった勝田/木村組は、
初日(SS1〜SS6)の6SS中、3本のステージでトップタイムを記録する好走をみせ、総合首位につけたライバル、福永修(シュコダ・ファビアR5)から1.8秒差の総合2番手という好位置につける。
23.28kmのステージを2回走行する最終日(SS7、SS8)は、前日夜から降り続く雨が残り、霧も発生する難しい路面状況に。小雨が降るSS7、勝田選手は首位の福永に対し30.3秒差をつける走りで一気にトップの座を奪うと、続く最終SSもトップタイムで締めくくり、シーズン4連勝を達成。
この結果、勝田は2017年以来となる、自身9度目のシリーズチャンピオンに輝くこととなった。コドライバーの木村にとっては初のJN-1タイトル獲得だ。一方、眞貝/安藤のペアは最終SSまで走行したものの、最後のタイムコントロール(TC)を前にメカニカルトラブルが発生し、リタイアを余儀なくされている。
「厳しい戦いでしたが、最後に勝つことができました」と語るのは、移籍初年度そしてGRヤリスGR4ラリーのデビューイヤーに通算9回目のシリーズチャンピオンを獲得した勝田。
「チームのみんなが頑張って、素晴らしいクルマやタイヤを用意してくれましたし、『自分が頑張らないと』と思いアタックしました」
「私自身にとっては久々のチャンピオンですし、木村選手は初のチャンピオンです。GRヤリスGR4ラリーの参戦初年度でここまで来られるとは思ってもいなかったですし、チームの頑張りにはあらためて感謝しています。シーズン中に経験したすべてのことの積み重ねが、タイトルに導いてくれました。応援ありがとうございました!」
■車両トラブルで2台リタイア、どん底からのスタート
最終戦を無念のリタイアで終えることになった眞貝は、チャンピオンの近くで学べたことに感謝している。
「今回は初日にリヤをヒットしてしまいましたが、落ち着いた様子で所定のサービス時間内で修復してくれたチームをとても心強く感じました」
「自分自身はここまで1年を通じて着実なペースアップを続けることができたのですが、最後にまとめ切れなかったことがとても残念です」
「1年間、このJN-1クラスで“勝ち抜く”ことを見せてくれた勝田選手・木村選手とチームや関係者の皆さまに対して、改めて尊敬の念を抱くとともに、近くで学ばせて頂いたことを心から感謝しています。
豊岡悟志監督は、チームが1戦1戦、ラリーで経験を重ねるごとに「強くなれた」と述べた。
「まずは最終戦まで激しい戦いを繰り広げ、一緒に全日本ラリーを盛り上げることができた、ライバルの福永選手に心から敬意と感謝を申し上げます」と豊岡氏。
「初戦のトラブル、どん底のスタートから、メカニックやエンジニアが本当に必死に改善を積み重ね、テストを繰り返してたくさんの事を学び、一戦ごとに強くなれたと思います」
「必死にチャレンジしてきたので、最後は天候も味方してくれて、勝田選手がチームの想いを、素晴らしいゴールへと運んでくれました。支えてくださった関係者の皆さま、一緒に戦ってきた仲間、すべての方にただただ感謝しかありません」