『ウォータースライダー』型サイドポンツーンを取り入れたアストンマーティンとアルピーヌ/2023年F1開発まとめ(3)
2023年12月27日(水)18時0分 AUTOSPORT web
2023年のF1は、前年に導入された新しい技術規則によりグラウンドエフェクトカーが復活して2年目のシーズンとなった。今年も各チームが特色のあるマシンを投入し、シーズンが進むにつれて徐々に進化を遂げていった。そんな2023年型マシンのアップデートを振り返ってく今回の企画、第3回はコンストラクターズ選手権5位のアストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ1チーム、6位のBWTアルピーヌF1チームだ。
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▼アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ1チーム(AMR23)
2023年シーズンの序盤戦を盛り上げたのはアストンマーティンだった。アストンマーティンの2023年マシンである『AMR23』の開発を指揮してきたのは、レッドブルの空力部門リーダーだったダン・ファローズ。したがって、アストンマーティンの空力コンセプトが、アンダーカットとダウンウォッシュ型サイドポンツーンによって、ディフューザー効果を大きくしてダウンフォースを得るというレッドブルが2022年から採用しているものと同様であることは言うまでもない。
ただし、レッドブルにはない独自のアイディアもある。それがサイドポンツーン上面に設けられたウォータースライダーのくぼみだ。これはサイドポンツーン上面の空気をより速く正確に後方へ流すために設けられたと考えられる。このウォータースライダーはその後、アルピーヌをはじめ、多くのチームが採り入れ、トレンドとなった。
そのウォータースライダーをアップデートさせたのが第9戦カナダGP。ウォータースライダーの出だしの形状がそれまでよりも角立っている(写真1の赤矢印)。入口が狭くなったことで、ウォータースライダーに流れる空気の速度が逆に上がり、フェルナンド・アロンソの第7戦モナコGPに続く2位表彰台獲得をアシストしていた。また、エンジンカウルの背の部分が鋭角に尖った形状に変更された(写真1の青矢印)。
アストンマーティンが採用し、その後、トレンドになったのがリアウイングのスウェッジライン付きの翼端板だ。
第19戦アメリカGPではサイドポンツーンの下側のデザインを変更。サイドポンツーンの下側にしっかりとした通り道を作り(写真2の赤矢印)、アンダーカット効果をより高めることに成功した。
2023年はフロントウイングのフラップと翼端板の接続部分に直角の角度をつけるアイディアが流行し、アストンマーティンもシーズン序盤から採用していた(写真3の赤矢印)。
▼BWTアルピーヌF1チーム(A523)
太く、上面がフラットな独特の形状のノーズが特徴のアルピーヌ。
3戦目のオーストラリアGPではコクピット両サイドに付けられていた空力パーツを変更してきた(写真4の緑矢印)。
アルピーヌは、今年トレンドになったアストンマーティンのウォータースライダー型サイドポンツーンを最初に採り入れてきたチーム。アルピーヌは2023年からリアサスペンションをプッシュロッドに変更。車体中央部の下側のスペースが空いており、ウォータースライダーから流れてきた空気を通すのに最適だった。
第11戦イギリスGPで新しいフロントウイングを投入。最も大きな違いは、ノーズとの接合部分の各フラップの形状だ。