「再生工場は築けず」石井楽天の「アキレス腱」とは 【楽天・石井GM通信簿・前編】

2022年12月30日(金)11時0分 ココカラネクスト

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 プロ野球・楽天の石井一久GM兼任監督(49)がGM職を退任し、来シーズンから「監督専任」になることが発表された。GMには18年9月に就任。大型補強や積極的なトレードで豪腕ぶりを発揮してきたが、一区切りつける。約4年間にわたるGMでの成果を振り返り、独自の視点でカテゴリー別に採点(A〜C評価)してみた。

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【石井GMが携わったFA補強】

19年
浅村栄斗(西武)

20年
鈴木大地(ロッテ)
牧田和久(パドレス)

21年
田中将大(ヤンキース)

◆FA補強=「A評価」
石井GMが持つ球界内外の豊富な人脈を生かして、大型補強を成功させた。西武で同僚だった浅村を手はじめに、ロッテ鈴木も獲得し、いずれも中心選手に。GMとしての大仕事は、ヤンキース田中将大を仙台に呼び戻したこと。日本球界最高年俸9億円の大型契約で、スーパースター帰還を実現し、地元ファンを大喜びさせた。田中は2年間で4勝、9勝と成績はいまひとつだが、あと「10」に迫る日米通算200勝を楽天で達成することにも意義がある。

【石井GMが携わったトレード】

18年
橋本到(巨人)←金銭
福井優也(広島)菊池保則と交換

19年
熊原健人(DeNA)濱矢廣大と交換
下水流昂(広島)三好匠と交換
和田恋(巨人)古川侑利と交換
涌井秀章(ロッテ)金銭

20年
池田駿(巨人)ウィーラーと交換
高田萌生(巨人)高梨雄平と交換
D.J.ジョンソン(広島)←金銭
田中貴也(巨人)←金銭

21年
横尾俊建(日本ハム)池田隆英と交換
炭谷銀仁朗(巨人)←金銭

22年
伊藤裕季也(DeNA)森原康平と交換
阿部寿樹(中日)涌井秀章と交換

◆西武ルート補強=「A評価」
現役時代に西武でともにプレーした選手とは強い信頼関係があり、GMとして次々と楽天に迎え入れた。FAの浅村をはじめ、涌井、牧田、炭谷など実績あるベテラン勢を獲得しては、力を発揮させた。GM在任期間ではない17年にFA加入した西武岸孝之と楽天の間を取り持ったともいわれ、「楽天ライオンズ」帝国を築いた。 

【石井GMが携わったほかの主な補強】

19年
由規(ヤクルト戦力外)
酒居知史(ロッテからFA移籍・美馬の人的補償)

22年
西川遥輝(日本ハム「ノンテンダー」で自由契約に)
川島慶三(ソフトバンク戦力外)
釜元豪(ソフトバンク戦力外)
正随優弥(広島から現役ドラフト)

◆トレード補強=「C評価」
移籍推進派を公言し、4年間で14件ものトレードをまとめた。他球団と比較しても、短期間でこれほど動いたGMはいない。楽天で106本塁打を放ったウイーラーの放出は球界を驚かせた。巨人にトレードしたウィーラー、高梨がそろって移籍先で活躍したが、石井GMは「放出した選手に活躍されたら困るという考えは僕にはない。古くさい考え方」という持論で、補強全般に積極的だった。

球界の活性化、という点での貢献度は大きいが、加入選手では涌井と炭谷以外にめぼしい活躍を見せた選手はいないことも事実。トレード以外でも、日本ハムから獲得した西川も全盛期ほどの働きはできなかった。地元仙台出身の由規、橋本らを獲得して再起のチャンスを与えたが、結果にはつながらなかった。

他球団で伸び悩む選手を再活躍させたヤクルト時代の恩師にあたる野村克也氏は「再生工場」と呼ばれたが、再生させる難しさを石井GMは痛感したに違いない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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