【巨人】なぜ阿部監督は大城を外しているのか 巨人OBが考察「みんなが育っていく」”三方よし”の背景とは

2024年4月20日(土)11時11分 ココカラネクスト

大城にとっても成長を促されている(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 巨人は4月19日の広島戦(マツダ)に延長12回を戦い、0−0の引き分けに終わった。

 投手陣が奮闘した。先発の戸郷翔征は7回4安打無失点、その後、高梨雄平、船迫大雅、西舘勇陽、カイル・ケラー、横川凱と5投手による継投で無失点リレー。緊迫した場面で迎えた12回も左腕、横川が無失点投球とチーム防御率は12球団トップの1・72と安定感抜群。

 一方、打線は湿りがち、直近5試合で4得点。この日は不振の坂本勇人を開幕以来の5番から外し2番に起用するなど、ベンチも後押しするが、得点には結び付かなかった。要所でバントミスもあるなど、厳しい展開が続いている。

 またこのところのゲームで注目を集めているのは捕手起用にもある。先発マスクをかぶったのは小林誠司、先の阪神戦で先制タイムリーを放つなど打撃でも堅調な様子を示しているベテラン捕手が今季初となる2試合連続のスタメン出場となった。

 2回、先頭の小園海斗が右前打で出塁。次打者、坂倉将吾の打席で二塁を狙ったが、小林が強肩を発揮、正確な送球で俊足の小園を刺した。空振り三振の坂倉と併殺を奪い、無死一塁のピンチだったところを失点を防いだ。

 ここまで巨人の先発マスクは大城卓三が10試合で務めていたが、潮目が変わったのは前回の戸郷登板試合だった。12日の広島戦(東京ドーム)でバッテリーを組んだ2人は戸郷が5回8安打4失点と精彩を欠く中、指揮官はリードする大城にも厳しい目を向けた。

 翌日の試合では大城にかわって岸田を先発マスクに起用、理由として、岸田や小林の捕手としてのふるまいを学んでほしいと語っていた。

 その後も"大城外し"は続き、13日以降の試合で先発マスクは任されていないが、この試合でも7回の代打から出場、8回以降は小林に代わってマスクをかぶり、無失点リレーと守備面でも支えた。

 3捕手併用となっているチーム事情について球界内からも考察の声が上がっている。昨年は1軍打撃チーフコーチを務め、捕手出身の大久保博元氏は19日までに自身のYouTubeチャンネルに「大城捕手がスタメン落ちしてる理由を解説します」と題した動画を更新。自身の見解を語った。

 まず3捕手のそれぞれの特徴については、最近存在感を示している小林に関しては「すごく練習する」とした上で、昨年ベンチを温めることが多かったが、先発マスクをかぶっている捕手のリード、また相手球団の捕手のリードに関しても熱心に研究する姿勢を示していたという。

 さらに岸田に関しては「インコースを怖がらずに攻める」としてパ・リーグに多いタイプの捕手だとした。

 その上で小林に関しては「偏らないリード」が特徴とも指摘。事前のスコアラーからの指示、また投手の状態を見極めて自身の〝感性〟が生きているリードだとした。

 一方の大城は真面目な性格もあり、事前のスコアラーからのデータに沿ったリードが多いとした。

 また大久保氏が感じた今回の起用の意図としては「チームとしてやっているのは大城をもっと大きく育てる」ことを目的としているとした。昨年も先発マスクを最も多くかぶり、16本塁打をマークするなど「打てる捕手」としても知られる大城の成長を願ってこその起用だとした。

 一方、3捕手の併用ということに関しても「捕手は1つのポジションしかない 1人決められちゃうとやる気がなくなる」とモチベーションに関わるとして、3捕手個々の持ち味を生かすためにも「阿部監督の色を出すという意味では非常にいい色を出している」と捕手出身監督ならではの配慮が光るとした。

 球界でも珍しい3捕手の起用ということになると相手球団にとってもやっかいになると指摘。「相手のバッターたちもあれだけ上手に捕手を(併用で)使われてしまうと、(コーチ陣も)指示を出しにくくなる」と、狙いが絞りにくくなるというメリットも生じるとした。

 「大城も含めて全員の捕手にチャンスを与えて、みんなが育っていく、やる気になる」と"三方よし"の起用になるとした大久保氏。

 懸案だったチーム防御率も12球団1と結果を残している。4季ぶりのV奪回を目指して、阿部監督がどのようにタクトをふるっていくのか。今後も注目を集めそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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