松田宣浩が見た「日本シリーズ」。MVPは杉本、吉田正ではなく「意外なあの選手」【2022回顧録】

2022年12月31日(土)17時0分 ココカラネクスト

(C)CoCoKARAnext

 2022年にスポーツ界で起こった印象的な出来事を『CoCoKARAnext』のヒット記事で振り返るこの企画。オリックスが2敗からの4連勝で逆転日本一を決めた日本シリーズを、歴戦の名手はどう見たのか。松田宣浩がMVPに指名したのは、主砲の杉本裕太郎、吉田正尚ではなく、意外なあの選手だった。記事初掲載:2022年10月31日

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 オリックスの4勝2敗で幕を閉じた今年の日本シリーズ。実に26年ぶり5回目の頂点に輝いた関西の雄が、ヤクルトとの熱戦を制した要因は何だったのか。福岡ソフトバンクホークスで6度の日本一に輝いた、松田宣浩に話を聞いた。

 数々の歓喜を味わった名手が『鍵』を握ると見ていたのは、両チームの主軸打者だった。

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「ヤクルトは山田哲人と村上宗隆、オリックスは杉本裕太郎と吉田正尚がどれだけ打てるか。短期決戦でマークされる中でも、打てたほうが勝つと見ていました」

 その言葉どおり、試合を重ねるごとに調子を上げていったオリックスが優位に立ち、2連敗から始まりながらも、終わってみれば4勝2敗。杉本は第6戦で決勝の右前適時打、第7戦ではエラー絡みではあったが、5回2死満塁の場面で左中間へ運び、3者をホームへ迎え入れた。一方の吉田正は、第5戦でサヨナラ2ランを含む1試合2本塁打を放つなど印象的な働きを見せている。

 それでも、松田が選んだMVPは、この2人ではない。

「僕が選ぶなら、MVPは太田椋選手。最後の2試合で1番を任された。あそこで急に固定されて、その期待に応えた。日本シリーズで初球ホームランは初。あれは大きかったと思う。先に言ったように両チームの主軸がカギを握ると思っていたけど、やっぱり最後に頑張った太田がMVPだと思う」

 日本シリーズという短期決戦は、結果がすべてだ。百戦錬磨の松田だからこそ、なおさらその重要性を知っている。

「結局は、どこで打つか。チームを勝たせる結果を出せた選手が評価されるべきだと思う。短期決戦はリーグ戦とは別物ですからね。チームの勝利に、どう力になれたかが重要。例えば、10割打っても負けたら何も報われない。全然打てなかったけど、大事なところで打って、それが日本一につながったら大きい」

 オリックスの太田は第6戦、第7戦と1番打者を任され、打線の流れを作った。第7戦の見事な初球ホームランは、今後も長く語り継がれることだろう。

 もちろん、投手陣の奮闘も、このシリーズを制した大きな要因だ。日本一を決めた第7戦は宮城大弥投手が「最高のピッチング」を披露し、宇田川優希投手や山﨑颯一郎投手らリリーフ陣もシリーズを通してきっちり仕事をした。松田はオリックスの投手陣に対し、「何年も前から素材はすごくよかった。でも、無駄なフォアボールがあって交代していくパターンが多かったが、フォアボールが少なくなった。あれだけスピードが出る中継ぎ陣は、今はナンバー1だと思う」と賛辞を惜しまない。また、要所で光った比嘉幹貴投手の働きについても、「良い仕事をしていた。比嘉さんの頑張りは素晴らしかった」と言葉を続けた。

 現役続行を希望する松田は、今回の日本一獲得で、オリックスはより強力なチームになったとみている。

「2014年は僕たちがオリックスに勝って優勝し、そこからホークスは常勝というか勝ち続けることができるようになった。1回優勝すると、気持ちもそうだし、自信もつきます。だから、オリックスは今年、リーグ2連覇もできていますよね。この勢いはしばらく続くと思います」

 両リーグの優勝チーム同士の戦いを、「投手も打者も両チームの力は互角で、結局は諦めない気持ちが勝敗を分けたと思う」と総括した松田。まだ見ぬ新天地での再起を目指す稀代の三塁手にとっても、今回の熱戦は良い刺激になったかもしれない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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