「乳児を乗せたベビーカーと大荷物を抱えた雨の帰り道。坂道を下っていると後ろから...」(神奈川県・30代女性)
2024年1月6日(土)11時0分 Jタウンネット
シリーズ読者投稿〜あの時、あなたに出会えなければ〜 投稿者:とみまるさん(神奈川県・30代女性)
その日は金曜日で、雨だった。
とみまるさんは、我が子を預けた保育所からお昼寝用の布団や着替えセットを持って帰る必要があった上に、傘も差さなければならなくて......。

<とみまるさんの体験談>
数年前、仕事の帰りに乳児の子どもをベビーカーに乗せ、保育所から最寄駅まで歩いていた時の話です。
当時は近所の保育所に空きがなく、一駅先の保育所に電車で通っていました。
「ああ、私はなんて惨めなんだ」
職場から帰る途中、保育所に寄ってから帰宅する毎日。その日は金曜日で、保育所で使ったお昼寝布団や週末に持ち帰るお着替えセットで荷物はいっぱい。しかも雨天。
自分の仕事用のカバンは斜めがけにし、傘も差して、子供はベビーカーに乗せました。

想像してください。子供が乗ったベビーカーを押し、布団が入ったカバンを抱え、右手には傘。そして、歩かなければならないのは急な坂道です。
「ああ、私はなんて惨めなんだ」
仕事も忙しかった私は自虐モード満載でゆっくりと坂を下っていました。
すると、後ろから中高年の女性が声を掛けてきました。
助けを断ると...「どう見ても大変でしょ」
「雨の中、坂道を荷物持って下るの、大変でしょ。ベビーカーはお母さんが押して、荷物は私が持ってあげますよ」
知らない人への遠慮と、高価なものは入っていないものの、荷物を盗られたらどうしよう、という思いから、一旦は丁重に断わりました。
でもその女性は食い下がります。
「どう見ても大変でしょ。私もね、娘がいて、子連れの時は周りの人にたくさん助けてもらってるの。あなたも遠慮しないで」
その言葉に張り詰めていた気持ちがぷつんと弾け、涙がポロポロ出て止まらなくなりました。
坂の下まで下りた時、かろうじてお礼は言いましたが、泣いている顔を見られたくなくてちゃんと向き合うことができませんでした。
それが、今でも心残りです。
その後も同じ時間帯に同じ場所を通っていたのですが、その人に会うことはありませんでした。
あの時は、本当にありがとうございました。
お寺の保育所だったので、仏様が色んなことでいっぱいいっぱいになっている私を励ましに声を掛けてくださったのかな、とも思いながら過ごしています。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
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(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください)
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